NECと半導体 「電電ファミリー」失敗の歴史

裏読み業界地図第4回

大西 康之 ジャーナリスト
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無責任体制では事業は成功しない

 北海道千歳市の地価が高騰している。国土交通省が3月に発表した公示地価ではJR千歳駅周辺が上昇率で全国の1位から3位を独占した。原因は2022年に設立された国策半導体メーカー、ラピダスの進出だ。世界最先端となる回路線幅2nm(ナノメートル)のロジック半導体の量産を目的とする同社には国が2024年度までに9200億円を拠出しており、3月31日には追加でさらに最大8025億円を支援すると発表した。

 千歳市という小さな池に「2兆円の鯨」が飛び込み、水が溢れている。工事関連の出張者で市内のホテルは満杯。繁華街にはガールズバーが雨後の筍の如くオープン。地元不動産会社の社長は「賑わうのはありがたいが、昔から住んでいる人たちは固定資産税が上がって困っている」と困惑気味だ。

 狂宴はこれで終わらない。

「2036年頃には18兆4000億円の経済効果が期待できる」

 ラピダスの設立者の一人でもある東哲郎会長(半導体製造装置メーカー、東京エレクトロンの元社長)は2024年7月、道内の講演でこう語ったが、2027年を予定している量産開始までには総額5兆円の投資が必要とされる。

 ラピダスが自己責任で資金を集めたのなら5兆円投資しようが10兆円投資しようが構わない。しかしラピダスに対する民間の出資は設立時で73億円しかない。

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source : 文藝春秋 2025年6月号

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