第一次トランプ政権 大統領副補佐官からの警告
もし「台湾有事」が起きたらどうなるか。日本も否応なく何らかの形で巻き込まれるでしょう。その意味で、安倍晋三元首相が強調していたように「台湾有事は日本有事」なのです。日本にとって他人事ではありません。
ただし「台湾有事」が実際に起こるのを確実に避ける方法が一つだけあります。「武力統一」をめざす中国に対して、台湾、米国、日本、オーストラリアなどが一致協力して「抑止力」を明確に示すことです。「武力統一」のコストがいかに高いかを思い知らせる。武力衝突を避ける方法は、これ以外にありません。
こう語るのは、米国の第一次トランプ政権で大統領副補佐官(国家安全保障担当)を務め、現在は、ガルノーグローバル共同創業者CEOを務めるマット・ポッティンジャー氏(52)だ。
氏は、1990年代後半から2000年代前半にかけてロイター通信と「ウォール・ストリート・ジャーナル」の特派員として中国に駐在。2007年から2010年にかけては海兵隊員として、イラクとアフガニスタンで従軍。その後、スタンフォード大学フーバー研究所特別客員研究員、国家安全保障会議(NSC)の上級職を歴任。トランプ政権での要職を終えた後は、投資ファンドでアジア研究を担当。中国語に堪能で中国の内部事情と安全保障とビジネスに精通するスペシャリストだ。
そのポッティンジャー氏が、「台湾防衛のための緊急提言」として、このほどみずから編著者となって刊行したのが『煮えたぎる海峡』(実業之日本社、2025年2月刊)である。
今ならまだ間に合う
――『煮えたぎる海峡』はどんな本で、なぜ出されたのですか。
2022年末に台湾を訪問した際、比較政治学者でフーバー研究所の同僚のラリー・ダイアモンド氏と議論したことが直接のきっかけです。
現地で状況はかなり切迫していると感じました。「世界の半導体チップの50%以上(最も高性能な半導体チップの90%以上)を生産する台湾の設備が中国に破壊されたり、奪取されたらどうなるか」「この数十年でこれほど速いペースで軍拡をしてきたのは中国だけで、それは世界覇権のためではなく台湾統一を強制的に実現するためだ」「中国による台湾の武力統一を阻止することは世界にとって喫緊の課題だ」といった“危機感”を我々は共有したのです。
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source : 文藝春秋 2025年6月号