5月24日、佐賀県のスポーツ課が突如記者会見を開いた。内容は、「佐賀県ヨット連盟」(唐津市・以下、連盟)が、県からの補助金と業務委託費を不正に受給していたというもの。実はその“実行犯”は、1996年のアトランタ五輪で日本のヨット競技史上初の銀メダルを獲得したヨット界の大功労者、重(しげ)由美子氏だった。(文:武田賴政[ノンフィクション作家])
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会見で、県は連盟に対し、約2550万円の返還を求めるとともに、県警に相談していると明かした。
事の次第が明らかになったのは昨年末。重氏が53歳の若さで乳がんで亡くなったことが発端だった。
重氏の人生はまさにヨット一筋。1965年に唐津市で生まれ、兄弟の影響で小学5年生からヨットにのめり込むと、唐津東高校ヨット部ではインターハイや国体で上位入賞。卒業後は連盟の指導員として勤務する傍ら、国内では無敵を誇る。92年の世界選手権では2人乗りの「470級」で2位となり、同年のバルセロナ五輪で5位入賞。そして次のアトランタ五輪でついに銀メダルを獲得した。
この重氏を少女の頃から指導し続けてきたのが、松山和興(かずおき)氏(77)だ。
「松山氏は72年のミュンヘン五輪に出場した後、74年に指導者として佐賀に招かれた。76年から国体で男女総合8連覇を遂げるなど、佐賀『ヨット王国』の礎を築きました。名コーチとして、評価は極めて高い」(ヨット関係者)
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source : 週刊文春 2019年6月13日号