弊社の社外取締役から、「日頃の行い」を褒められた。一昨年のネルケプランニングに続き、昨年、ニトロプラスという誰もが認める優良企業のM&Aを取締役会で決議した、そのあとの雑談で出た言葉だ。「やっぱり日頃の行いですよね。それ、大事にした方がいいですよ」。私は上場企業社長としての経歴が、今年で丸25年になる。大企業の社長が4年とか8年とかで任期を終えるとすると、もう大ベテランだろう。
その実感から言えば、株式市場関係者や、経済学者や、新聞記者が、口を揃えて「M&Aを企業の成長戦略に活用せよ」と言ってくるんだけど、現実はそんなに簡単なものじゃない。というよりも、多くの案件は罠だと思う。その難しさを例えるなら、港区で互いに好条件を求めて婚活している男女みたいだ。優良物件は滅多に売りに出ないし、出ても人気が集中するから高騰するし、安易に手に入るものは地雷が潜んでいる。もちろん、たまたまの良い出会いはあるだろうけど、タイミングが選べず、偶然の神様に頼るしかない。
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source : 週刊文春 2025年2月13日号