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『性からよむ江戸時代 生活の現場から』(沢山美果子 岩波新書 820円+税)を読んだ。江戸時代に生きた人々の性の日常、そして性買売の実態について知りたかった。「売春」ではなく「買春」もしくは「性買売」と表記するのは、近年の研究動向と、「買う男・身を売る女の実態にせま」ろうという著者の意向に従った。

江戸時代の人々は、家、村、藩の社会関係の中で生きていた。家は民衆にとって「いのちを守る基盤」だった。家を子孫に引き継ぐために、子どもと子どもを産む女の命を守ろうとする意識が高まる一方、時には堕胎(妊娠中絶)、間引き(出生直後の赤子を殺す)、捨て子などといったことも行われた。女児、望まない妊娠、生活の苦しさなどといった様々な理由から子どもを殺したり、病気の流行により子どもが生き延びることが困難であったりと、家の維持・存続は人々の願いであるとともに、その実現は容易ではなかったという。
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source : 週刊文春 2025年2月20日号