アメリカにトランプ政権が誕生して1か月。連日のように驚くニュースが飛び込んできます。連邦政府の職員200万人に退職勧奨を出したとか、CIA職員全員を対象に退職勧奨したとか、教育省解体を始めるとか、ひとつひとつが大ニュースなのですが、連打されると、次第に不感症になってしまいます。「トランプなら言いそうなことだなあ」とやり過ごしてしまいかねませんが、それではいけないのですね。今回は、「これはいくらなんでもやり過ぎ(言い過ぎ)だろう」と思う項目を2つ取り上げます。1つ目は「アメリカ国際開発局」(USAID)の職員の多くを一斉に休職にしたことです。ここには1万人の職員がいて、3分の2は国外で働いていますが、彼らに帰任命令が出されました。

 私はこれまで中東やアフリカの難民キャンプなど各地で「USAID」の名前の入った食料援助袋などを見てきました。アメリカの支援が難民の命綱になっているのを目撃してきたのです。

 ところが、もはや「マスク大統領」とまで揶揄されるようになったイーロン・マスクが「USAIDを廃止する」と発言し、トランプ大統領もこれを追認したというのです。

〈トランプ大統領は3日にホワイトハウスで記者団に対し、「急進的な左翼の狂人たち」が運営するUSAIDによる「とてつもない詐欺」が横行していると非難したが、具体的な名前や詳細は明らかにしなかった〉(BBCニュース2月4日)

 具体的な根拠を示さずに批判する。いつものトランプ節全開です。しかし、アメリカの支援で成立してきた各種のプロジェクトが中止になれば、どれだけの人道危機が発生するのか、考えるだに恐ろしくなります。

 そもそもUSAIDは1961年、当時のアメリカ議会が「対外援助法」を可決し、それにもとづいてジョン・F・ケネディ大統領の大統領令で設立されました。年間約400億ドル(6兆2000億円)の予算を持っています。

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source : 週刊文春 2025年2月20日号