ラグビーW杯で快進撃を見せるも、ベスト8で南アフリカの前に散った日本代表。激戦の裏にあった桜の戦士8人の秘話を紹介する。
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スコットランド戦前半に負傷交代し、無念の涙を流した具智元(グジウォン)(25)。日本文理大付高ラグビー部で指導した染矢勝義元監督が話す。
「彼はこの2年間、膝や首、手首のケガに悩まされ、W杯前には手の甲を骨折していた。さらにサモア戦でスクラムが壊れた時に、肋軟骨もやったみたいで、その痛みに耐えていたんです。お父さんから連絡があって、完治まで2カ月くらいかかるんじゃないかと。ご両親は、息子がW杯で二度も途中交代したら、韓国人だから日本のために一生懸命プレーしてないってバッシングされるんじゃないかと、すごく心配されていました」
肋軟骨とは、肋骨と胸骨を結び付けている部分の骨。痛めると、息をしたり横になったりしても激痛が走る。
「お父さんも南ア戦は『厳しそうだ』と言ってました。智元にLINEで『体は大丈夫か?』と送ったら、『全然大丈夫です。痛みもない。調子も上がってきてます』なんて絵文字も使って嘘ばっかり書きやがってね。『南アのスクラムを押して来い!』って打ったら『わかりました、押してきます』と。実際にスクラムを押し込んでペナルティをとった時のガッツポーズを見たら、こいつ、人生かけて戦ってるなってジーンと来ました。気持ちで押し込んでる部分があったんです」(同前)
チームの司令塔・田村優(30)も負傷に苦しんだ。
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source : 週刊文春 2019年10月31日号