「合格おめでとう 次は東大!!」
開成、桜蔭、筑波大学附属駒場(筑駒)……。中学受験でトップクラスの難易度を誇る中高一貫校の合格者に配られる勧誘チラシの数々。その中にあって太字で冒頭の「東大!!」の目標を強調して掲げているのが「鉄緑会」だ。
チラシに堂々と「東大受験指導専門塾」とうたっているだけあって、2024年度は代々木の東京本校だけで482人の東京大学合格者を輩出。医学部に進む最難関の理科三類は定員100人中44人が鉄緑会の拠点の1つである代々木校からの合格者と驚異の実績をあげている。
鉄緑会は塾業界の中でもベールに包まれている存在だ。河合塾、駿台予備学校、東進ハイスクールなど合格実績の露出や宣伝に積極的な塾・予備校とは対照的に、HPを見てもカリキュラムは「確実な東大現役合格のための最も効率的な6年間の学習方法を追求した」と説明するのみ。学費に関しても言及がなく、電話か郵送での資料請求でしか門を叩くことができない。一体、鉄のベールの中では何が起き、東大生が多く誕生しているのか。(全2回の第1回)
その要因のひとつに挙げられるのが、鉄緑会が「指定校制」をとっていることだ。冒頭の3校のほか、麻布や海城、渋谷教育学園幕張など首都圏の中高一貫校15校(2025年1月現在)が指定校となっている。指定校の生徒は中学1年生の4月に限り、入塾試験なしで入ることができる。ただ、指定校でも中1の4月以外に入塾を希望する場合は試験に合格する必要がある。指定校以外の生徒は試験が必須で「数年前の話ですが、指定校の生徒が大多数を占め、それ以外の都立日比谷や東京学芸大学附属などの高校受験組が1割ほど」(鉄緑会OB)の比率だという(鉄緑会は現在の割合について「指定校の生徒が全体の約80%程度」と回答)。

そもそも鉄緑会は、東大でも難関の「法学部・医学部に入れる塾」として、東大生数人が1983年に立ち上げた。鉄緑会という名前は、東大医学部の同窓会「鉄門倶楽部」と東大法学部の自治会「緑会」から取られたものだ。当時の講師は東大の医学部生か法学部生。有名進学校のみにビラを配っていたため、必然的に学力の高い生徒が集まっていった。
現在も講師の多くは鉄緑会出身の東大生であり、「東大に合格した先輩が優秀な中高生に東大合格の最短ルートを教える」という構図は設立以来変わっていない。社員講師は少なく、大半が学生だ。あるOBはこう語る。
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source : 週刊文春 電子版オリジナル
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