『みゆき』(1980)『ラフ』(1987)
『みゆき』:若松真人は、血の繋がらない妹みゆきと、恋人鹿島みゆきとの間で心が揺れて……。/『ラフ』:競泳選手の大和圭介は飛びこみ選手の二ノ宮亜美と、家業をめぐり反発し合うが、徐々に打ち解ける。圭介は亜美が慕う競泳選手と争うことに。

僕が『みゆき』を推したいのは、主人公の取り柄のなさ、この一点に尽きます。
『みゆき』には、ふたりの「みゆき」が登場します。血のつながらない妹の若松みゆきと、クラスのアイドル鹿島みゆき。若松真人は、自分に気のある恋人のみゆきと、二人暮らしをする妹のみゆきの間で行ったり来たり揺れ動くのですが、彼はごくごく普通の高校生なんですね。野球やボクシングなどで天性の才能を持つ主人公ばかりのあだち作品のなかで、ただ「思いやりがある」だけの主人公は他にいません。こんな主人公で連載が続くのかなと当時も心配になったほどで(笑)。だいたい、ふたりのみゆきは完璧な才色兼備の女性なんです。この物語の主人公は、真人ではなく、ふたりのみゆきなんですよね。
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source : 週刊文春 2025年5月1日・8日号
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