「落語は人間の業の肯定である」という言葉は落語家・立川談志の名言だが、その談志や三遊亭圓生、古今亭志ん生などの落語家が好きで、小学生の頃から落語ファンだった漫画家があだち充である。

 あだち充といえば、「ラブコメ」「野球漫画」というイメージだろうが、実はその作風の中には落語に影響を受けた人間描写やコメディ要素が入っている。

 落語風SF時代劇『虹色とうがらし』という漫画がある。あだち充が肩の力を思いっきり抜いて気楽に楽しんで描いているのがよくわかる作品であり、このタイプの作品は長期連載となった「野球漫画」などの間に連載されることが多い。

 これから紹介する「野球漫画」にも、それらの要素は入っているので、どちらも読んでみて、その濃淡を楽しんでみてほしい。

 

 三島由紀夫が自決した1970年に19歳のあだち充は原作付きの『消えた爆音』で漫画家デビューした。最初の数年はヒット作に恵まれず、少女漫画誌『少女コミック』に活躍の場所を移すのだが、そこには萩尾望都や竹宮惠子ら「花の24年組」がおり、その影響を受けることになった。

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source : 週刊文春 2025年5月1日・8日号