大阪・関西万博がらみのいろいろを見てると70年の大阪万博(EXPO’70)がすべての不幸の始まりなんではないかと思えてくる。あれがあれほどの成功を収めてしまったための万博幻想。その後の『国際花と緑の博覧会』(大阪)、『愛・地球博』(愛知)の2つに実際行きましたけど、どっちもひどかったですよ。しょぼくて。花博のソ連館は安普請の会議場みたいで、展示の目玉は「宇宙ステーションに乗せてもらって宇宙遊泳もしてきた『花ずきんちゃん(花博のマスコットキャラ)』」という体たらく。大阪万博のソ連館の偉容を思い出して涙をぬぐった。『愛・地球博』の目玉は冷凍マンモス(の死体)であったが、暑い中1時間以上待たされてやっと入ったマンモスの館。さんざん前説を見せられてやっとたどりついたマンモス、私は最後までそれがマンモスと気づかずに建物を出てしまってガクゼンとした。

 だからといって私は花博や愛・地球博に行ったことを後悔しているわけではない。「スゲエもん見せられたぜ」と笑える思い出である。万博なんてホントは見世物小屋みたいなものだと思う。食べ物はテキヤの屋台。大阪万博のほうが間違いだったのだ。

 で、ついに開幕、大阪・関西万博であります。関西では『民放5局同時生放送!EXPO2025大阪・関西万博開幕前日SP』というのを放送した。関西の民放がぜんぶ同じ番組を同じ時間にやったというんで史上初!と謳っている。

©時事通信社

 しかし私は、大晦日の夜、民放全局が『ゆく年くる年』という同じ年越し番組を放映してた時代を知っているので、こんなことを史上初と言われても驚きはない。でもある種の祝祭感はある。

 しかしもうちょっと豪華な番組かと思ったら、単なる「関西ローカル午後ワイドショー内の、野外ロケ」だった。安い。見てください! って指さした噴水が老人の立ち小便みたいにチョロチョロしてたりとか、何か間が悪いとこばかり映る。

 そして「万博宣伝番組」なので、「SF映画の世界がすぐそこまで来てるんですよ!」「日本にいながら海外気分を楽しむことができます!」とか各局アナが満面の笑みで叫んでいる。それを聞いていて思う。「これは見世物小屋の呼び込み口上では……」。

「親の因果が子に報い~、あわれ娘はろくろっ首~」とか塩辛声で呼び込んで、入ったら子供だましのハリボテ、みたいなあれ。

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source : 週刊文春 2025年5月1日・8日号