「お酒は強いの?」25年前、女子大生は採用試験でそんな面接を経て入行したという。女性総合職不要を唱える頭取がいた時代の銀行で、いまヤメ銀となったその女性は、何を見て、どう戦ったのか。
(あきばだいすけ 1966年、東京都生まれ。ジャーナリスト。慶應義塾大学経済学部を卒業後、日本経済新聞社に入社。電機、証券、電力、商社、ゼネコンなど各業界を取材。編集委員などを経て2017年に独立。近著に『ライフシフト 10の成功例に学ぶ第2の人生』がある。)
ヤメ銀で常に気になっていたのは女性を取材していないことだった。女性行員は沢山いる。しかし、ほとんどを男性が占めた総合職として働き、今は新天地で活躍する女性のヤメ銀を見つけ出すのは困難を極めた。なんとか辿り着いたのが1996年に日本興業銀行に入行、2007年にみずほ銀行を辞め、現在はアルバ・エデュという一般社団法人の代表理事を務める竹内明日香だった。
アルバ・エデュは子供のプレゼン能力を磨くことを主な活動内容としている。「出前授業」と称して公立小・中学校に赴き、伝えることの大切さを説く。その指導はキメ細かく、学年によって教材が異なる。例えば中学1年生のプログラムは「ルールについて考える」。憲法から校則に至るまで世の中のルールには何らかの意図がある。そこで世界の様々なルールを示し、なぜそのようなルールがあるのかを調べ、それに対する自分の考えをまとめさせ、論理的に説明できるように指導する。
論理的な考えも、聴衆に伝わらなければ意味がない。そこで話す時には原稿を見ず、3カ所くらいにそれぞれ5秒から10秒ほど目を配るようにして話しなさい、などと教える。
活動を始めたのは14年。17年度には東京都教育庁から都内の中学校、高校向けにプレゼン教育を受託した。文京区は19年度に、小・中学生のプレゼン能力向上カリキュラムの開発に乗り出し、アルバ・エデュが教材を納品した。竹内の授業でプレゼンが得意になった子供が増えたばかりでなく、生徒の成績に向上が認められたからだ。こうした実績を知った全国の学校から依頼が寄せられ、プレゼン授業を受けた子供はのべ3万人を超える。
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source : 週刊文春 2021年5月27日号