なぜ、永山の肖像は明治維新の英雄のものとされたのか――。

 

【前回まで】西郷隆盛の側近として幕末から明治を駆け抜けた永山弥一郎。その足跡をたどる筆者のもとに、福島県の神社に弥一郎らしき人物が描かれた絵があるとの情報がもたらされた。現地でその正体を確かめた筆者が、次に狙いを定めたのは弥一郎の肖像写真だった――本連載は西南戦争で散った一人の男の生涯を掘り起こす「同時進行歴史ノンフィクション」である。

 今回の“主役”は、この連載の扉に掲載されている肖像写真である。

 オールバックの黒髪に口ひげをたくわえ、高い鼻梁と眉毛に迫る涼やかな目元が印象的なこの男――彼が永山弥一郎であることは、今でこそ知られるようになった。

 だがこの写真には、かつては全く別の人物の肖像写真として扱われてきた過去がある。

 西郷隆盛である。

 弥一郎について調べ始めてすぐ、私はこの写真が〈永山西郷〉と呼ばれていることを知った。というよりも、弥一郎に関して一般に知られている情報は、ほぼ“ニセ西郷写真の男”ということに尽きていた。

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source : 週刊文春 2025年5月29日号