私が社長を務めるFC町田ゼルビアの黒田剛監督は、28年間青森山田高校のサッカー部を指揮し、3回も全国高校サッカー選手権大会で優勝に導いたという華々しい戦歴をもって、2023年シーズンからプロの世界に転向している。我々がスカウトした時は中学の副校長という役職だった。就任当初、高校サッカー出身の指導者は、たとえ名将と名高い監督であってもプロの世界では通用しない、というのが業界の常識的な見方だった。過去にプロ転向が上手くいかなかった例がいくつかあるからだ。
SNSなどでは、高校の教員にプロ集団を率いられるはずがないとか、プロを高校生みたいに扱うのではとか、そんなコメントをうんざりするほど見かけた。また、あるサッカーメディアでは、シーズン最初に解任される監督候補ナンバーワンに選出されていた。ところが黒田監督は、プロ転向初年度となる2023年にJ2優勝、J1昇格を決めると、翌2024年クラブ初のJ1では最終盤まで優勝争いを演じ、3位フィニッシュでACL出場を決めた。更にこの間、クラブから日本代表や各国の代表選手を何人も輩出しており、実績としてこの上ない。どこにいても結果を出す、サッカー監督業における見事なプロフェッショナルだと賞賛せざるを得ないだろう。
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source : 週刊文春 2025年6月12日号