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朝乃山 裏切りの深夜キャバクラ常習犯

「週刊文春」編集部

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5月17日、部屋から国技館に向かう
5月17日、部屋から国技館に向かう

 緊急事態宣言の最中、大関・朝乃山が足しげく通う闇営業のキャバクラ店。五月場所初日を2日後に控えた5月7日夜10時半、彼が待ち合わせしていたのは番記者だった。張り込みに気づいた番記者は小誌の車のドアをこじ開け――。

 花街の面影が色濃く残る東京・神楽坂。緊急事態宣言中の5月7日金曜日、歓楽街の中ほどに黒色のタクシーがハザードランプを焚いて、ゆっくりと停車したのは夜の10時24分だった。車内に差し込む街灯の薄明りで、ひと際身体の大きな男性が後部座席に座っている様子が見える。

 ところが男性は一向に車から降りようとしない。グレーのパーカーを着てフードを被った男性は、近くに停まっていた小誌取材班の車に気付いたようである。

 そして次の瞬間、路上で警戒していた“仲間”の男性が取材班の車のドアをこじ開け、ドスを利かせた声で、こう凄んできたのだ。

「お前ら週刊誌だろ! こっちは素人じゃねぇんだよ」

 脅し文句の真意は定かでないが、確かに彼らは素人ではない。タクシーに乗っている男性は、2日後に初日を迎える大相撲五月場所で土俵に立つ大関・朝乃山(27)なのである。そして取材班を恫喝した男も――。

綱取りと嫁取りを狙う朝乃山
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 2019年五月場所、平幕で初優勝を果たした朝乃山は富山県富山市の出身。同県出身の優勝力士は実に103年ぶりで、故郷を大いに沸かせた。

 地元の富山商業を卒業後、近畿大学相撲部を経て高砂部屋入り。16年3月に初土俵を踏んで以降、順調に番付を上げ、昨年3月の大関昇進の伝達式では、口上に「愛」と「正義」の言葉が使われた。

「富山商業の校訓に登場する言葉です、朝乃山の基礎を作った富商相撲部の浦山英樹監督は17年にガンで他界。恩師の遺言は『富山のスーパースターになりなさい』でした」(地元記者)

 恵まれた体格と正統派の右四つ相撲で、いまや次世代の横綱候補の一人に。一人横綱の白鵬が休場を続ける中、朝乃山は今場所も出場力士の最高位。特に注目を集める存在なのだ。

 そんな彼が場所直前の夜、なぜ神楽坂を訪れたのか。冒頭のシーンはこう続く。

「カメラ持ってんだろ!」

 後部座席に体を突っ込み、巻き舌で威勢よく叫ぶ男性に対して記者が、「あなたこそ誰ですか?」と問い質すと急に無言になり、逃げるように朝乃山のタクシーに乗り込んだ。その後、西麻布へと向かったのである。

 車内から後方を気にする朝乃山と男性。目的地に到着すると、男性が先に降車。タクシーの周囲を用心深く見回した後、2人は近くの怪しげなビルへと吸い込まれていったのである。

「実はこのビルにはコロナ禍でも明け方まで営業している会員制のラウンジがあります。店には裏口も用意されているため、お忍びで野球選手など有名人が女の子と酒を飲んでいることもあります」(元従業員)

西麻布から高砂部屋に帰宅

 再び朝乃山が姿を見せたのは深夜3時前。サンダルを履いた若い女性がタクシーを止めて店の裏口付近まで車を誘導。一緒に建物から出てきた男性が朝乃山を車に乗せて見送った。タクシーが高砂部屋の近くに止まったのは3時半過ぎ。車を降りた朝乃山は足早に部屋へと消えていった。

深夜3時半過ぎ、高砂部屋に到着

 相撲界では昨年5月、三段目の勝武士が、コロナ感染による多臓器不全のため、28歳で亡くなっている。この悲劇を受け、日本相撲協会は昨年7月、「新型コロナウィルス感染症対応ガイドライン」を発表。〈近隣以外への緊急な外出や必要な外出は、師匠が協会に相談した上で行う〉と定め、力士を含む全ての協会員に対して不要不急の外出自粛を要請している。

 だが実際はガイドラインに違反し、処分された力士や親方を出している。

 象徴的なのが阿炎だ。前頭五枚目で出場していた20年七月場所の最中、場所前、場所中のキャバクラ通いが発覚した。

多いときで週3回来店

「緊急事態宣言下で五月場所が中止になり、協会一丸となって対策を講じ、やっと七月場所開催に漕ぎつけた矢先のことだった。当初、阿炎はキャバクラ通いを『場所前と場所中の2回』と説明したが、実際は十数回。同席した他の部屋の幕下力士に口止めしていたことも判明した」(協会関係者)

 師匠の錣山親方(元関脇・寺尾)のみならず、相撲協会幹部は激怒。阿炎は引退届を出して“俎板の鯉”に。

「引退届は『今後、協会に迷惑をかける行為を行ったら受理』との条件で協会預かりとなり、『3場所の出場停止』『5カ月50パーセントの報酬減額』の処分が決まった。幕下まで番付を下げ、先場所、幕下56枚目から再スタートを切ったばかりです」(同前)

 小誌が今年1月場所中の雀荘、風俗店通いをスクープした、時津風部屋の前時津風親方(元前頭・時津海)も前代未聞だった。

「弟子の大関・正代が優勝争いをする中、連夜外出を繰り返していた。昨年9月にもガイドライン違反で2階級降格処分を受けていた“前科”も勘案され、協会を退職しています」(同前)

 今場所もまた、高田川部屋の幕内・竜電がガイドライン違反で休場している。

 さらに相撲協会はガイドラインに加えて、力士や親方などの協会員に対し、「番付発表後からは原則外出禁止」の通達も出している。五月場所の番付発表は4月26日。朝乃山はこのルールに違反していることになる。

 それだけではない。実は緊急事態宣言中の夜、朝乃山は複数回、神楽坂を訪れており、自粛破りの“常習犯”なのだ。この日、タクシーを停車させたのも、目の前のビルに入るキャバクラ「A」(仮名)に行こうとした瞬間だったという。店の関係者が明かす。

「朝乃山関は常連さんで、去年から、多いときで週3回くらいは店に来ています。スポーツ新聞の記者や、電通の方と3人で来ることが多いですね。お支払いは、ほぼ朝乃山がしています」

 神楽坂で10年近く営業しているという「A」は、夜8時にオープンし、深夜1時まで営業している。今年1月に発令された緊急事態宣言中も時短要請には応じず、深夜まで酒を提供。三度目の緊急事態宣言が出た4月25日以降もいわゆる“闇営業”を続けている。

 4月30日金曜日。実はこの日も「A」の店内には朝乃山の姿があった。男性2人を伴って朝乃山が店を訪れたのは夜10時過ぎのこと。同じビルの2フロアを使って営業している同店は、下の階が一般席で、上階にVIPと呼ばれる個室が4つある。朝乃山の一行は上階のVIP席に陣取った。

「部屋にはカラオケも完備されています。この日、カラオケはしていませんが、大関は、いつものようにフードを被ってソファーに腰かけていました。彼はまだ若いので、下ネタをよく話して盛り上がっています。店に何人かお気に入りの子がいて、その中にお店を辞める子がいたので、お別れ会の意味でシャンパンをあけて豪遊していました」(従業員)

 この夜、お気に入りの子たちとの遊興は遅くまで続き、店を出たのは深夜1時をまわっていたという。

 昨年から店に足しげく通っている朝乃山。「特別に会いたい人がいるから」と明かすのは、元従業員だ。

「Aには朝乃山が本気で口説いていた子がおり、交際を迫っていたようなんです。その相手のB子は朝乃山と同じ年で、佐々木希を彷彿とさせる美女。昨年10月の彼女の誕生日の時には、赤色で統一されたVIPルームで祝っていました。彼の好きなシャンパン『ヴーヴ・クリコ』で乾杯し、ソファーに寝転んだりとご満悦だったのを覚えています。酒量は多くなく、女の子たちの前でグラスの酒をカポっと一口で飲み干し、『ゲ~』とゲップをする姿もみたことがあります。女の子から『臭っ!』と突っ込まれたり、じゃれ合ったりしていましたね」

“本命”の子を国技館に招待

 朝乃山のLINEの名前は、本名の「石橋」から“ばっしー”と表記されているという。彼女はもちろん、ごく親しい女の子や友人からも“ばっしー”という愛称で呼ばれている。

「ばっしーが狙っていたB子はすごく優しくて健気。彼との話題を作るために相撲ニュースを欠かさずチェックしていました。そんな彼女の気を引こうと、朝乃山もご飯に誘ったり、その子や友達を国技館に招待したこともあったほどです」(別のA関係者)

 B子に夢中になっている時の朝乃山は絶好調で、B子は「今日も勝ったよ!」と嬉しそうに周囲に話していたという。

「逆に負けた時は、『がんばったね』などとLINEで励ましのメッセージを送っていたとか。それに対して朝乃山が『勝たなきゃ意味がない』などと返信してくると聞いたことがある。でも結局、恋は実らなかったようで、今はAの系列店に勤める堀北真希似の子などを口説くようになりました」(同前)

 実は、部屋の看板力士である朝乃山には“縁談”も持ち上がっていた。

「先代高砂親方(元大関・朝潮)には大手広告代理店に勤める独身のお嬢さんがいて、朝乃山の嫁候補にどうかと、周囲が盛り上がっているのです。そして、いずれは朝乃山に高砂部屋を継いでもらいたいという思いがあります」(高砂一門関係者)

 一方で朝乃山が深夜までキャバクラ遊びに興じられるのは、部屋の現状に原因がある。部屋関係者の話。

「朝乃山は先代から『結婚するまで部屋に居ろ』と言われていて、今も高砂部屋の4階に住んでいる。でも昨年11月に新師匠になった朝赤龍(現高砂親方)は近くのマンションから通いの状態。朝赤龍は真面目で穏やかな人物だし、先代夫婦は部屋の3階に暮らしているが、先代は『退いた身だから』と、部屋の運営には口出しをしていない」

朝乃山を見送る先代・高砂親方

 部屋には朝乃山をスカウトしてきた若松親方(元前頭・朝乃若)もいるが、

「後継者争いに敗れて、今はほとんど部屋にも顔を出していない。先代は夜9時には寝てしまうし、朝乃山が夜な夜な抜け出して遊んでいても、誰も咎める者がいないのです」(同前)

 結果、新生・高砂部屋はお目付け役のいない、野放図な状態となっているのだ。

 そして冒頭の5月7日、取材班に凄んできた「素人ではない」男はいったい何者なのか。ある相撲関係者に写真を見せると、驚いた様子でこう証言した。

「彼は、スポニチの番記者ですよ」

 なんと、スポーツニッポン新聞社の40代記者・X氏だったのだ。東京本社事業局事業部などを経て、現在は相撲を担当している。

「同社のアルバイトから中途入社したX氏は、もともとプロゴルファーを目指していたそうです。記者としては優秀。相手の懐に入って話を聞きだすのが得意で、朝乃山にも食い込んでいる」(スポニチ関係者)

 朝乃山とべったりのX氏はスポニチのウェブ版で、「朝乃山、見た目と違って豪快な一面も『ケチと思われたくないっすから』」(20年3月26日)と題した記事も執筆。昔の力士のように夜な夜な酒を飲む人が少なくなったと書いた上で、こう続けている。

「だから、行ってないって」

〈ところが、朝乃山は本場所中でも「お酒飲んだところで変わらないでしょ」などと冗談を言いながら何度か街へと繰り出す〉

〈昔ながらのお相撲さんを彷彿させる豪快な姿も魅力的である〉

 さらに同年5月14日にも、三段目力士・勝武士さんがコロナ感染で死去したことを受けて記事を執筆。

〈感染拡大が終息すれば本場所は年6度、行うことができる。ただ失われた命は二度と戻ることはない〉と書いた上で、勝武士さんの容体を最後まで明かさなかった相撲協会の姿勢を暗に批判した。

 なお、協会が定めたガイドラインの対象者には新聞やテレビなどのメディア関係者も含まれている。相撲担当記者であるX氏が、それを知らないはずはないだろう。

 5月18日、自宅を出て最寄り駅に向かうスポニチのX記者を直撃。

――5月7日に、朝乃山関と神楽坂に行かれた。

「いや、いないですよ」

――いらっしゃらなかった。

「……」

――そのあとに西麻布にも行ってますよね?

「行ってないですよ」

――「A」というキャバクラに(朝乃山関と)一緒に行ってますよね。

「(質問に答えず)てか、なんでこの家知ってんの? そっちの会社(文春)にも知ってる人いるから」

――スポニチの相撲番であるのは事実ですよね。

「あー、はいはい」

――緊急事態宣言下に……。

「(かぶせるように)だから、行ってないって言ってんのに、何を勝手に事実をそういう風に作ってるの?」

取材班を恫喝したX記者

 直撃後、スポニチに問い合わせると、X記者から聴取した上で、こう回答した。

「(X記者が5月7日に)神楽坂で朝乃山関と待ち合わせをしたことは事実です。その後、西麻布に行き、パーソナルトレーナーを紹介しました。大関とは飲食をせず、午後10時ぐらいに別れたそうです」

 だが、X記者が小誌の車のドアをこじ開けたのは午後10時半頃のこと。さらに深夜3時過ぎ、車に乗り込む朝乃山をX記者が見送るシーンも確認している。

 一方の朝乃山にも高砂部屋を通して取材を申し込んだが、締め切りまでに回答がなかった。

五月場所8日目、豊昇龍に完敗

 感染対策を徹底し、興行を続けてきた協会、力士、そして大相撲ファンを裏切ってしまった朝乃山。もう一度、「愛」と「正義」の初心を取り戻すしかない。

八角理事長の悩みは続く

source : 週刊文春 2021年5月27日号

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