80歳までに日本人の3人に1人がかかるとされる帯状疱疹。これを予防する帯状疱疹ワクチンを打つと認知症の発症リスクまで低下する――。イギリスの科学雑誌『Nature』に4月、そんな論文が掲載され話題になっている。
昨年まで福岡の市中病院に勤務し、朝日新聞で13年間コラムを連載していた内科医の酒井健司氏が解説する。
「これまでも、帯状疱疹ワクチンと認知症発症の関係性について言及した論文はありましたが、今回の論文は、因果関係が強く示唆されたことが一番のウリです。回帰不連続デザインといって、影響を与えうる他の要因が最小限に抑えられているんですよ。なるほど、さすが『Nature』という論文ですね」

手掛けたのは米スタンフォード大学の研究チームで、ウェールズの電子医療記録を利用している。
「ウェールズでは2013年9月から帯状疱疹ワクチンの定期接種が開始されました。この時を境に接種率がグッと上がっている。この記録に着目したのがスタンフォードの研究で、ワクチンの効果だけを取り出して分析できます。7年間追跡調査した結果、ワクチン接種群は、認知症の発症リスクが非接種群と比べて2割低下することが明らかになりました。特に女性のワクチン接種者で有意に低下しています」(同前)
そもそも、なぜ帯状疱疹ワクチンを打つことで認知症リスクが下がるのか。
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source : 週刊文春 2025年6月19日号