自民党が突如、7月の参院選公約に、全国民に1人当たり2万円の給付金を配るとぶちあげた。野党がこぞって打ち出した消費減税への対抗策だが、このプランを考えたのは自民党の木原誠二選対委員長(55)だったという。

 関係者によると、木原氏が給付金のアイデアを党幹部に披露したのは5月下旬。2024年度の国の税収が前年度を上回り、5年連続で過去最高を更新する見通しだと古巣の財務省関係者から聞き、小野寺五典政調会長らに「赤字国債を発行しなくても給付金を配れるかもしれない」と持ち掛けたという。

 了承を得た木原氏は、岸田政権下で定額減税の制度設計をさせた財務省のチームを極秘裏に招集した。税収の上振れ分から計算し、「所得制限なく2万円。子供と低所得者には2万円の加算」とはじき出させた。

玉木雄一郎氏と同じ1993年に大蔵省入省

 自民党では春先にも森山裕幹事長を中心に、物価高対策として1人当たり数万円の給付金を配る案を検討したことがあった。このときは、世論から「参院選の票をカネで買うに等しい」などと反発が起こり、石破茂首相は断念した。

 今回の態度の変化は、参院選を前に消費減税を否定した石破首相に対し、「物価高に無策だ」(立憲民主党・野田佳彦代表)といった批判の高まりを受けてのことだ。石破首相は今回の木原氏の提案に「子供に腹いっぱい食べてもらおう」などと述べ、前のめりになったという。

 木原氏は岸田政権で官房副長官を務めた後、愛人宅との二重生活など複数のスキャンダルを暴かれたこともあり、一度は表舞台から去ったが、昨秋の衆院選で辞任した小泉進次郎選対委員長(当時)の後任として、石破首相が抜擢。ようやくSPの付く重要ポストに就いたものの、党内では目立たない存在だった。

 木原氏は、提案が通ったのが余程嬉しかったのか、「6月11日の党首討論後に首相が表明する」という自民党内の筋書きを無視。同月9日の講演で「国民が物価高に苦しんでいる中、国の税収だけ伸びているのはおかしい。即効性、実効性のある給付を検討させてもらいたい」などと不用意に言及した。

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source : 週刊文春 2025年6月26日号