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中日門倉コーチ失踪 泥沼ダブル愛人と“借金トラブル” 毎月、家に“脅迫状”

「週刊文春」編集部
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「一身上の都合により退団させていただきます」。5月15日に突然失踪した門倉コーチ。人生の全てだった野球を捨ててまで、何から逃げたかったのか。妻と3人の子、孫娘を溺愛し、動物愛護にも熱心だった心優しき男。だが、彼には“別の顔”があったのだ――。

 5月14日夕刻。中日ドラゴンズの2軍本拠地・ナゴヤ球場から豊田市の住まいに帰宅した2軍投手コーチの門倉健(47)は、オンラインのビデオ通話サービスに接続した。約300キロ離れた横浜市の自宅に住む姉さん女房の民江さんが、モニター越しに姿を見せる。

日本での通算成績は76勝82敗
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 夕食のメニュー、長男夫婦が育てる孫娘の話題、飼っている犬たちの様子……、平穏なやりとりが繰り広げられていく。こうして声の届く時間と空間を共有して過ごすのが、20年以上続く門倉家の習慣だった。

 この日の接続時間は、午後6時頃から深夜12時頃まで、約6時間に及んだ。

「来週帰るから。買い物に行きたい」

 毎週オフの日、横浜に帰宅する門倉は、民江さんにそう告げた。ところが――。

 日付は15日に変わって早朝5時。門倉と同居している次男が起床すると、父の姿がない。カバンと財布、スマホは、室内に置きっぱなしだ。不審に思いつつも、次男は出勤のため5時半に家を離れた。

「門倉さんが来ていないんです。電話にも出ません」

 中日2軍マネージャーから民江さんに連絡が入ったのは午前9時40分。本来の球場入りは8時半だ。

 本人と連絡がつかないまま、時間だけが経過していく。門倉は、ビデオ通話終了後の真夜中に、忽然と姿を消していたのだ――。

 門倉の失踪が公になったのは、11日後の5月26日のこと。中日球団が同日付で門倉の退団を発表したのである。

「退団発表の際、5月20日の消印で門倉の退団届が届いていた事実が明かされた」(スポーツ紙記者)

 そこには、門倉の直筆でこう綴られていた。

〈5月15日をもって、一身上の都合により退団させていただきます〉

 一方、横浜に住む民江さん宛てにも門倉から手紙が届いていた。だが、その手紙には“消印”がなかったのだ。つまり、自宅の郵便受けに直接、手紙が投函されたということになる。

 民江さんが語る。

「気づいたのは20日の午後でした。『球団に退団届を書いたので明日か明後日には届くと思う』『色々と迷惑をかけてごめんなさい。落ち着いたら連絡します』といった内容が、1枚の紙に直筆で書かれていました」

 しかも、球団に届いた退団届の消印は、自宅最寄りの郵便局。車を持っておらず、財布も置いて豊田の家を出た門倉は、どうやって横浜まで移動し、2通の手紙を投函したのか――。

 埼玉県入間市に住む門倉の実母にとっても、寝耳に水の出来事だった。

「ニュースを見た娘(門倉の姉)から聞いて、初めて知って。心当たりも全くない。親にくらい連絡を寄越せばいいのに。心配です」

 門倉は地元埼玉の聖望学園高校、東北福祉大学を経て、95年11月、中日にドラフト2位指名された。身長193センチ、長いアゴがトレードマークの大型投手は中日から近鉄、横浜と渡り歩き、メジャー契約目前だった2006年オフ、巨人に移籍。都内の野球バー店主が振り返る。

「巨人入りは『原(辰徳)監督から呼ばれたら行くしかないだろ。携帯に電話がかかってきて、恐縮してずっと壁に向かってペコペコしていた』と言って、みんなを笑わせていた。話が面白く、下ネタも得意でした」

 球界OBは、門倉の“弱点”をこう指摘する。

「投手としては性格が優しすぎて。コーチから『もっとインコースを突け』と言われても、厳しく攻められない。『相手にも生活があるから……』と死球で怪我させるのを恐れていた」

ママ友の集まりに笑顔で参加

 プライベートでは、プロ入り1年目に知り合った4つ上の民江さんにひと目ぼれ。交際を始めた。

「奥さんには2人の連れ子がいたし、両親や中日の星野仙一監督からは『結婚はまだ早い』と反対されていたが、門倉は彼女にゾッコンだった」(中日関係者)

 2人は97年のクリスマス、周囲に内緒で入籍を済ませ、名古屋で一緒に暮らし始めた。翌年オフに晴れて披露宴が行われたが、新生活を始めた当初は、お互いの母親たちしかそれを知らなかったという。

 03年には民江さんとの間に待望の長女が誕生。そして脂の乗り切った巨人時代の07年、横浜市に3億円の豪邸を購入している。

 だが、以降は順風満帆ではなかった。2年2億円の契約で移籍した巨人では1勝しかできず、自由契約に。その後は韓国の球団などを転々としながら、13年に現役を引退した。

 フリー時代は解説者などをしていたが、収入は激減。18年8月には税金未納で横浜市に自宅を差し押さえられている。納税を済ませた同年秋、与田剛新監督の下、古巣中日で2軍投手コーチ就任が決まった。

「コーチの年俸は2000万円ほどになる。門倉さんが与田さんに入閣を頼み込んだようです」(中日関係者)

与田監督も心配の日々

 さらに19年2月にも都銀から自宅を競売にかけられたが、住宅ローンの残債分の約8000万円を韓国系の銀行に借り換え、同年6月に取り下げられている。

 コーチ就任後は、無断欠勤もなく、指導熱心だったという門倉。家庭や夫婦仲も円満そのものに見えた。

「健さんは奥さんが大好きで、『うちのタミがね』が口癖。子供の学校行事だけでなく、ママ友の集まりにもおっきな体でちょこんと参加して、いつもニコニコしてました」(ママ友)

 しかし、門倉には知られざる“別の顔”があった。知人女性が明かす。

「門倉さんは、既婚のX子さんと深い仲になっていたんです。W不倫状態で、失踪前までやりとりがあったようでした」

 X子さんは、都内の会社に勤めるドラゴンズファンの女性。アラフィフのスレンダーな美魔女である。

 門倉が中日に復帰した19年の暮れ、中村武志・1軍バッテリーコーチが都内で主催したファンとの集いで知り合ったという。現役時代にバッテリーを組んだ元捕手の中村は、門倉の兄貴分的な存在でもある。

「飲み会で門倉さんと意気投合したX子さんは、チケットを取ってもらい、よくドラゴンズの試合を見に行っていました。門倉さんにお弁当を作ってあげるなど、何かと甲斐甲斐しく接していたみたいです」(同前)

 一方、門倉がX子さんと知り合ったのと時を同じくして、門倉家に不穏な出来事が起こり始める。昨年の初め頃から、妻の民江さん宛てに、月に1回のペースで誹謗中傷のメールが届くようになったのだ。

〈動物愛護の活動なんてやって、偽善者!〉

〈どうせ売名目的だろう〉

〈あなたと結婚した門倉がかわいそう〉

 門倉夫婦は14年から殺処分が近い犬を保護犬として引き取ってきた。昨年には動物愛護活動の一般社団法人も設立している。

 まるで“脅迫状”のような嫌がらせのメールは、昨年5月頃からプリントされた手紙の郵送に変わった。やはり月1回ペースで、消印は新宿、豊島、目黒、荒川、川崎と、都内を中心にバラバラだったという。思い悩んだ門倉夫婦は、警察にも被害相談をしている。

「文面からして、書いているのは絶対に女性だと思いました」(民江さん)

 やがて民江さんを標的にしていた手紙は〈門倉も同類だ〉〈野球と動物愛護どっちを取るんだ〉といった内容に変化していく。昨年暮れから3カ月ほど途絶えた後、今年3月の手紙を最後に止んでいるという。

 他方で同じく3月、中日球団にも匿名の女性から不審な電話がかかっていた。

「貸したお金を返して欲しいのに、門倉さんと連絡が取れない」

 今年1月、門倉はスマホを新規購入し、メインの番号を変えていた。球団からは「そういった事実があるなら気を付けるように」と注意を受けたという。

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「貸したお金を返して欲しい」

 実は女性の影はそれだけではない。門倉には、X子さんと並行して関係を持っていた別の愛人もいたのだ。

「やはりファンとの飲み会で知り合ったY子さんもその一人でした。優しくて面白い門倉さんは女性にモテるんです。ただ、だんだんと扱いが雑になってきて、Y子さんは関係を終えたと。少しお金も貸したまま返って来ないけど、彼女はもう諦め、『奥さんに申し訳ないことした』と反省していました」(前出・知人女性)

 2人の愛人、妻に対する嫌がらせ、そして金銭トラブル――。その果てに門倉は、突如として行方をくらませてしまった。

「関係がこじれたX子さんが門倉さんを執拗に追い詰めていたと聞いています。一方で、門倉さんを匿っているとも言われていて、失踪したのは、彼女が何か関係していると思います」(同前)

 門倉とX子さん双方を知る中村コーチに電話で取材を申し込むと、

――週刊文春ですが。

「今ちょ、ちょっと忙しいので、はい、はい」

――門倉さんの件で……

「(被せるように)また今度でお願いします」

 そのまま通話は一方的に打ち切られた。

 球団関係者が明かす。

「内部でも厳しく情報が統制されているが、傍目には事件性の有無が分からないにもかかわらず、球団があっさりと退団届を受理したのは、第三者を通じて本人の安否確認ができているからです。門倉は神奈川県内のマンションに住む女性と一緒にいるとみられ、愛知県警も“事件性ナシ”と判断している」

 実はX子さんが住んでいるのも、神奈川県内のマンションだ。彼女を電話で直撃した。

――門倉さんの居場所や失踪した事情を知らないか。

「知らないです」

――一昨年から門倉さんと親しい仲だったと聞いた。

「ほかのファンのみんなと一緒ですよ」

――中村コーチのファンの集いで知り合ったと。

「そうですね。武志さんとも知り合いなんで」

――その後、門倉さんと男女の関係になられたと。

「(笑いながら)ないです、ないです」

――失踪前に連絡は。

「(門倉の)電話番号が変わっちゃって、今の連絡先を知らないんですよ。武志さんからも『事情を知らないか』と電話で連絡いただいたんですけど」

――門倉さんご本人とトラブルはなかったか。

「それはないです」

――門倉さんが悩みを抱えていた様子は。

「そういうことも言えません。野球でも色々悩んでいただろうし。人がどんな悩み抱えてるのかなんて、他人には分からないじゃないですか!」

 夫の失踪から2週間でゲッソリと痩せたという妻の民江さんは、最後にこう言って涙ぐむ。

「何があったか、私も知りたいです。早く帰ってきて欲しい」

 6月1日現在、門倉は表に出てくることなく、雲隠れを続けている。

母の日に家族が集合(5月10日のブログ)
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source : 週刊文春 2021年6月10日号

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