「我らが兄弟姉妹よ、真実は見かけとは全く違う」
カメラに向かってそう語りかけるのは、トルコで有名なマフィアのボス、セダット・ペケル(49)だ。「トルコ政府に復讐を行う」と宣言し、大臣やその親族の“疑惑”をYouTubeで5月から次々と暴露。公開された9本の動画は計8000万回以上再生され、トルコ国内に激震が走っている。
「ペケルは、元内相が2人のジャーナリストの暗殺に関与し、うち1件は自身の兄弟が依頼を受けたが失敗したと明かした。また元内相の息子がカザフスタン人女子大学生を強姦後に殺害したと仄めかした。さらに前首相の息子がベネズエラに行きコカイン密輸ルートを設立し、政府高官がシリアのテロ組織に武器を提供したと告発。得た金は内務省の支援を受けた“汚職ネットワーク”によって隠蔽され、トルコ政府までたどることはできないなどとも語った。ただ、証拠は示しておらず、真偽は不明です」(トルコ人ジャーナリスト)
ペケルは恐喝、不法監禁や殺人の扇動、犯罪組織の設立などで何度も服役。自身を担当した弁護士と2008年に獄中結婚し、娘が2人いる。エルドアン大統領(67)の熱狂的支持者で、「兄貴」と呼んでいる。
「エルドアン氏が党首の公正発展党の集会を組織したり、同党の政治家から要請を受けて15年に新聞社の襲撃を企てたりしたことも明かしています」(同前)
03年から政権を率いるエルドアン氏は、16年のクーデター未遂事件以降、反対勢力を徹底的に弾圧。ジャーナリストを毎年何十人も投獄し、欧米から「独裁者」と批判されてきた。
ペケルが告発を始めたきっかけは、警察の捜査が家族に及んだからだった。
初回登録は初月300円で
この続きが読めます。
有料会員になると、
全ての記事が読み放題
-
月額プラン
1カ月更新
2,200円/月
初回登録は初月300円
-
年額プラン
22,000円一括払い・1年更新
1,833円/月
既に有料会員の方はログインして続きを読む
※オンライン書店「Fujisan.co.jp」限定で「電子版+雑誌プラン」がございます。ご希望の方はこちらからお申し込みください。
有料会員になると…
世の中を揺るがすスクープが雑誌発売日の1日前に読める!
- スクープ記事をいち早く読める
- 電子版オリジナル記事が読める
- 解説番組が視聴できる
- 会員限定ニュースレターが読める
source : 週刊文春 2021年6月17日号