週刊文春 電子版

“じっちゃんの名にかけて”パナ新社長に“救済直訴状”

THIS WEEK「経済」

「週刊文春」編集部
ニュース 社会 企業
松下幸之助氏が亡くなった年に入社
松下幸之助氏が亡くなった年に入社

 6月24日、パナソニックの社長が9年ぶりに交代する。津賀一宏氏(64)に代わり、新社長に就くのは、常務の楠見雄規氏(56)だ。

「楠見氏は京大大学院工学研究科修了後、1989年に入社。白物家電や車載事業など幅広い領域を経験してきました」(経済部記者)

 今年3月期の売上高は25年ぶりに7兆円を割り込んだパナソニック。新社長として最初の仕事は、

「早期退職の募集です。楠見氏はテレビ事業部長時代、プラズマテレビ撤退を指揮した。今回はバブル入社組のリストラに手をつけるのでしょう」(同前)

 そんな楠見氏に、5月28日付で一通の書簡が届いた。そこに綴られていたのは〈楠見様にお願いがございます〉という言葉。送り主は、ベルトコンベヤ事業を手掛けるNCホールディングスの梶原浩規社長だ。

「NCは現在、システム関連企業TCSホールディングスから敵対的買収を仕掛けられている。NC側の発表によれば、TCSはグループ企業約20社に少しずつ株を取得させ、実質的に33%を超える株を保有したといいます。これは、株主総会の特別決議を単独で阻止できる割合。5%を超える株の保有は大量保有報告書の提出義務がありますが、NC側はそのルールをすり抜けているなどと主張。一方、TCS側はグループ会社のシナジー形成のためと主張しています」(同前)

 では、ベルトコンベヤ会社のNCが、パナの次期社長に何をお願いしたのか。

「TCSはパナの影響力が濃い会社です。両社は共同出資の会社を作ったり、パナの坂本俊弘元副社長がTCSの取締役を務めたりしている。さらに敵対的買収を巡り、TCSが新たな取締役候補として擁立したのは、パナの元幹部2人など。書簡ではそうした事実に触れた上で〈TCSがパナの取引先として妥当なのか、検討頂きたい〉〈役員派遣の是非も説明頂きたい〉などと綴られていた。パナの責任で、敵対的買収を食い止めて欲しいと直訴したのです」(パナ関係者)

 だが、梶原氏が楠見氏に縋った理由はそれだけではない。実は書簡の最後にはある事実が綴られていた。

「楠見氏の祖父・楠見勉氏がNCの前身である日本コンベヤー製作所の創業者だとし、〈強いご縁があればこそ、直接のお手紙を送りました〉などと綴られていたのです」(同前)

 NCの回答。

「(楠見氏への書簡送付や、楠見氏が創業者の孫という点は)その通りです」

 パナソニックの回答。

「個別の書簡に関しての回答は控えさせて頂きます」

“祖父の会社”からの書簡に楠見氏は返事をしていないという。

source : 週刊文春 2021年6月17日号

文春リークス
閉じる