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ワクチン接種「完全ガイド12」《かかりつけか大規模か》《熱が出たら》《副反応の見分け方》

「週刊文春」編集部
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 65歳以上(1957年4月1日以前生まれ)の2割が1回目の接種を済ませた、新型コロナウイルスのワクチン接種。6月末までに64歳以下への接種も始まる予定だ。さまざまな疑問や注意すべきポイントを専門家が徹底解説する。

 住んでいる地域によっては接種会場を選ぶことができる。まず悩むのが、

 (1)政府や自治体が設置した大規模接種会場か、かかりつけ医か。

 日本感染症学会ワクチン委員会委員長の西順一郎・鹿児島大学教授が言う。

「予約が早く取れる方で接種しましょう。ただし、がんの治療中だったり、リウマチなど免疫抑制剤を使っている病気の方は治療のタイミングがあるので、かかりつけの方がよいでしょう」

西教授
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 診療の合間に一日30人に接種を行っている池袋大谷クリニックの大谷義夫院長が言う。

「かかりつけはカルテがあるので問診は楽で、患者さんも安心できます。大規模接種だと医師は初対面なので問診を丁寧に行う必要があり、時間がかかります」

 スムーズに予約できるなら、かかりつけで受けよう。

 では、(2)夫婦が同時に接種するのはどうか

「同居する家族は接種日をずらすことが理想です」

 そう語るのは、厚労省の予防接種・ワクチン分科会委員を務める坂元昇・川崎市立看護短期大学長だ。

「夫婦が同じ日に接種を受けて、同じように重い副反応が出た場合、介護や子育てなどがある家庭だと共倒れして立ち行かなくなってしまいます」(同前)

坂元学長

 また、(3)接種を避けた方がいい人、注意すべき人はどんな人かというと、

「厚労省は、重い急性疾患の患者や、コロナワクチンの成分に対して呼吸困難やアナフィラキシー(重度のアレルギー反応)などの既往歴のある人、13日以内に他の予防接種を受けている人は、接種できないとしています」(厚労省担当記者)

 西氏が続ける。

「脳梗塞や心筋梗塞などの疾患で、血液を固まりにくくする抗凝固療法を受けている人は、接種後の出血に注意が必要です。過去に化粧品や薬、ワクチンでアレルギー反応があった人は問診の際に説明し、医師の指示を仰ぎましょう」

 接種前日の飲酒は禁じられていないが、飲み過ぎには注意。接種後に体調が悪化するおそれがあるからだ。

 そして当日。(4)37度5分以上の発熱や体調不良となったら

「キャンセルすべきです。万が一、コロナ感染していれば、他の患者さんにうつすことになります」(大谷氏)

大谷医師

 すぐにかかりつけ医や、自治体に電話して、予約を取り消そう。

 接種会場へ必ず持っていかなければならないのは、接種券と健康保険証などの身分証。また予診票も予め記入しておくとよい。(5)他に持っていくべきものは?

「薬を飲んでいる方は自身で説明が難しい場合、お薬手帳があれば便利です。脱水症状を防ぐため、これからの季節、水も持っていった方が良いでしょう」(西氏)

 大谷氏は、服装に注意してほしいと話す。

「接種は肩の下あたりに行うので、半袖など、すぐに肩を出せる服装で来ていただきたいですね」

 接種後、会場で15分以上の待機を求められる。アナフィラキシーなどの症状が出る可能性があるからだ。(6)接種した当日はどのように過ごせばよいだろうか。

「米国の初期のレポートでは最長で150分後にアナフィラキシーの症状が出たという報告もあり、会場を出た後も注意が必要。体調が悪くなれば待機しているスタッフに言うか、会場を出ていたら戻って下さい。体がむず痒くなったり、湿疹が出たり、顔がほてるなどの兆候があれば、冷静に車や電車を降りて人に声をかけるか、ひどければ救急車を呼んでもらいましょう。いきなり意識が消失して死亡することはありません。接種後は念のため過度の運動や飲酒は避け、静かに過ごすべきです」(坂元氏)

 厚労省によれば、アナフィラキシーの報告は、5月16日までに611万接種のうち994件(0.01%)にとどまり、むやみに恐れる必要はない。

発熱が2日続く場合も

 一方、接種した晩や翌朝など数日以内に出やすいのが、発熱などの副反応だ。50%以上の人に接種部位の痛み、疲労や頭痛が、10%〜50%の人に筋肉痛や悪寒、発熱などの症状が出ると報告されている。特に2回目は発熱や関節痛が出る可能性が高いという。(7)発熱した場合、解熱剤を使ってもよいのか。

「体力を消耗して、体がつらければ、アセトアミノフェンの市販の解熱剤を飲むとよいでしょう」

 そう語る坂元氏は、2回目の接種をした翌朝に38度5分の熱が出た。

「私もそうでしたが、解熱剤が効かない人もいます。ただ、熱は2日ほどで収まるので焦る必要はありません」(同前)

 坂元氏は発熱が2日近く続き、その間の予定を全てキャンセルした。

2回目に接種した後の2日間は、重要な予定を入れるのは避けた方が良いでしょう」(同前)

 これが8つ目のポイントだ。ただし発熱や頭痛を防ごうと、事前に解熱剤を服用するのは避けた方が良い。西氏はそう指摘する。

「あらかじめ解熱剤を投与すると、免疫のレベルが下がることがわかっています。ワクチンの効果が低くなってしまうのです」(西氏)

 また、発熱などの症状が長引くなら要注意。コロナの可能性もある。では(9)副反応はどう見分けるのか

「熱やだるさだけなら、ワクチンの副反応だと思っていいでしょう。コロナなら呼吸器症状や喉の痛み、違和感がともないます。発熱やだるさが継続する場合はコロナなどを疑い、医療機関を受診しましょう」(同前)

 現在、日本では2種類のワクチンが接種できる。自治体の集団接種やかかりつけ医ではファイザー製、政府の大規模接種センターではモデルナ製だ。(10)1回目と2回目でメーカーを変えても効果があるのか。

 
 

「異なるメーカーのワクチンを打った場合の安全性や有効性は確認されていません。未知の副反応が懸念されるので、同じメーカーのものを使うべきです」(同前)

 両社とも効果に大差はないが、1回目と2回目の接種間隔は異なる。ファイザー製は3週間、モデルナ製は4週間と定めている。ただ、仕事などで予約日に受けられない人もいるだろう。(11)2回目を遅めたり早めたりするのはどうなのか。

「両方とも定められた間隔で接種することで有効性が確認されており、早めることは想定していない。都合で2回目が遅れても、1回目の接種を体は記憶しているので数週間遅れても有効ですが、あえて先に伸ばすことはやめましょう」(同前)

 では、(12)接種後はマスクをつけずに出歩いたり、旅行へ行けるのか。

 坂元氏は注意を促す。

「ワクチンは発症の予防だけでなく、感染の抑制効果があることもわかってきて、1回の接種でも7割程度の有効性があるとの報告もあります。免疫効果の持続期間はまだ不明ですが、感染後の中和抗体価は1年ほどは続くとのデータもあり、ワクチンの効果もある程度期待できるのではないかと思います。しかし市中での感染リスクがゼロでない以上、マスクを着けるなど、これまで通りの感染対策をする必要があります」

 国民の多くが接種を完了するまで時間がかかる。接種後も対策を続けていこう。

自衛隊の大規模接種センター東京会場

source : 週刊文春 2021年6月17日号

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