中国人旅行客が日本に押し寄せている。10月1日から国慶節(建国記念日)休みだが、今年は旧暦・中秋節と重なったため、例年より長い8連休。いわば“超”黄金週間なのだ。
延べ23億人が移動する、一大行楽シーズンだが、外国旅行先の一番人気は日本。中国からの近さ、円安のお得感が魅力だ。中国経済の不振は続いているのに、外国旅行ラッシュが続くのは不思議にも思える。確かに、不動産市場や消費の低迷は続き、消費者の財布のひもは堅くなっている。それが逆に、「安い旅行先・日本」を支える要因ともなっているようだ。
今年は戦後80周年の節目で、抗日戦争映画や軍事パレードで反日ムードは高まっているが、客足には影響していない。
「日本軍国主義は大いに問題だ。次の首相は右翼と聞いたが、日本人は歴史を反省すべきだ」と語るのは、東京旅行を満喫中の王さん(60代・男性)。元警察幹部で、定年後も5年間は外国旅行を禁止されていた。怒りながらも、解禁されて初の旅行先に選んだのが日本だった。「礼儀正しくてルールを守る人ばかり。これなら中国のように、監視カメラで見張らなくても治安が守れる」と絶賛していた。
「国慶節休みの過ごし方。貧乏人は反日映画を見に行き、金持ちは日本旅行を楽しむ」というブラックジョークがある。事実、王さんのように一定以上の所得層は、歴史問題と日本旅行とは別物と考えている。

日本は安く治安もいいとあって、外国旅行初心者にはもってこいの場所。リピーター率は年々上がり、昨年は約6割に達した。初回訪問では東京、富士山、大阪のゴールデンルートを選ぶ人も2度目は地方を目指す。九州や北陸などでも中国人観光客が増えている。
また、大型バスで行動するようなツアー旅行は減り、個人旅行へのシフトが続く。中国のツアー旅行は、ツアー会社とグルのボッタクリ免税店で食い物にされるのが定番で、敬遠されるようになった。家族や友人と一緒の団体旅行だけではなく、少人数での旅行も増加している。日本慣れした中国人客が増えたことが大きい。
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source : 週刊文春 2025年10月16日号






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