1998年、4人の命が奪われた和歌山カレー事件。両親が逮捕された一家の長女は、養護施設で3人の弟妹の親代わりとして苦労した末、資産家と結婚し子宝にも恵まれた。だが、運命は暗転して――。“殺人犯の娘”という十字架を背負い続けた女性の一生に迫る。
1998年7月25日の夕刻。和歌山市園部の自治会が主催した夏祭りでカレーライスを食べた住民が次々嘔吐し、あたりは地獄絵図と化した。
その後、4人が死亡、63人が急性ヒ素中毒に陥り、和歌山県警がヒ素混入事件として捜査を開始。やがて疑惑の目が向けられたのは、近所の豪邸に住む6人家族だった。
そんな中、自宅を取り囲む報道陣に鋭い視線を浴びせる中学3年生の女子生徒の姿があった。身長160センチで母親譲りのふくよかな体型。林健治、眞須美夫妻の長女・優子(仮名)だった。当時、次女は中学2年、長男は小学校5年、三女は4歳。報道陣が「お父さんはなぜ家から出てこないの」と彼らに尋ねると、優子は周囲を見回し、鬼の形相で気色ばんだ。
「お前らのせいや!」
両親が逮捕されたのは、事件から約2カ月後のこと。その日、優子は踏み込んだ警察官に対し、「人の家に土足で上がるな」と一喝した。
だが、その後、四きょうだいは和歌山カレー事件の“殺人犯の子供”、さらに“死刑囚の子供”として重い十字架を背負いながら生きることを強いられた。
初回登録は初月300円でこの続きが読めます(月額プラン)。
年額プランはキャンペーン中!
有料会員になると、
全ての記事が読み放題
-
月額プラン
1カ月更新
2,200円/月
初回登録は初月300円
-
年額プラン
1年更新
およそ833円/月
3月27日㊌~4月10日㊌ 10:00の期間にお申し込みの方限定
期間限定
既に有料会員の方はログインして続きを読む
※オンライン書店「Fujisan.co.jp」限定で「電子版+雑誌プラン」がございます。ご希望の方はこちらからお申し込みください。
有料会員になると…
世の中を揺るがすスクープが雑誌発売日の1日前に読める!
- スクープ記事をいち早く読める
- 電子版オリジナル記事が読める
- 解説番組が視聴できる
- 会員限定ニュースレターが読める
source : 週刊文春 2021年6月24日号