6月14日午前10時半頃、大阪・JR天満駅に程近い雑居ビルの5階。馴染みの店の扉を開けると、集まった知人たちは声を失った。
廊下から入る光に浮かび上がった、仰向けに倒れた血塗れの女性。周囲には引き抜かれた髪の毛が散乱し、顔には白いタオルがかけられていた。彼女と連絡が取れなくなってから、3日後のことだった――。
6月18日、大阪府警は兵庫県西宮市に住む会社員・宮本浩志容疑者(56)を、大阪市北区にあるカラオケパブ「ごまちゃん」のオーナー・稲田真優子さん(25)を殺害した容疑で逮捕した。
「稲田さんは刃物で首の右側と左肺を貫通するほど深く刺され、全身に十数カ所の切り傷があった。死因は失血死。手には防御創もあり、相当激しく抵抗したと見られます」(社会部記者)
事件当日の6月11日、最後の客となった宮本は、午後9時過ぎに稲田さんと従業員に見送られて一度退店している。だが、実際にビルから出る姿が入口の防犯カメラに映っていたのは、従業員が退勤した後の午後10時頃だった。
ビルの元従業員が語る。
「エレベーターの近くに階段があり、踊り場に身を潜めていれば廊下からは気づかれない。店の出入りを確認しながら、相手が1人になるのを待っていたのでは」
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source : 週刊文春 2021年7月1日号