「医療機関では徹底した感染防止対策を実践している」。そう胸を張っていた日本医師会の中川会長。しかし、自らが理事長を務める札幌市の病院ではクラスターが発生していた。一体、何が起きていたのか。小誌の取材に応じた職員たちが口々に明かした裏側とは――。
「私が勤める病院では数多くの感染者が出て、行政からもクラスターと認定されました。中には、コロナのせいで亡くなった方もいる。現場で対応に当たってきた者として、悔やんでも悔やみきれません。ここまで院内感染が広がったのは、感染対策が不十分だったからです。上の人間に改善を訴えたりもしましたが、聞き入れてもらえなかった。うちは理事長が一代で築き上げた病院ですから、言いなりなんでしょうね……。理事長がコロナ患者を見殺しにしたようなものです」
小誌に悲壮な表情でそう語るのは、「新さっぽろ脳神経外科病院」(北海道札幌市)に勤務する職員・Aさん。日本医師会の中川俊男会長(69)が理事長を務める病院だ。Aさんだけではない。異例なことに、5人の職員が病院の実態を告発したのだった――。
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中川氏が会長として率いる日本医師会。全国の医師約33万人のうち、半数を上回る約17万3000人が加入する巨大組織だ。
「勤務医も加入していますが、主に開業医のために活動する団体です。最大の目的は、開業医の収入に直結する診療報酬の加算。そのためにも自民党に年約5億円を献金し、選挙では集票マシーンとして動く。当然、政権としてもその影響力の大きさに配慮せざるを得ません」(政治部デスク)
その医師会に君臨する中川氏は1988年、36歳の若さで新さっぽろ脳神経外科病院を開業。日本初の脳ドックを導入したことで知られ、現在は急性期病院として、病床135床を擁している。来夏にはJR新札幌駅近くに、約30億円を投資して新築ビルに病院を移転する予定だ。
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source : 週刊文春 2021年7月1日号