東京都内にまん延防止等重点措置が適用されている最中、政治資金パーティーに参加していたことが批判を浴びた日本医師会の中川俊男会長(69)。その中川氏が理事長を務める病院の職員5人が「週刊文春」の取材に応じ、「不十分な感染対策の結果、クラスターの発生を招いた」と告発した。
1988年、中川氏が36歳の時に開業した「新さっぽろ脳神経外科病院」(北海道札幌市)。日本初の脳ドックを導入したことで知られ、現在は急性期病院として、病床135床、職員約240名を擁している。来夏にはJR新札幌駅近くに、約30億円を投資して新築したビルに病院を移転する予定だ。
一方で中川氏は昨年6月、日本医師会の会長に就任。以降、毎週の記者会見で、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐべく徹底した感染対策を呼びかけてきた。院内感染が相次ぎ、国民の間に不安が高まった時期には「医療機関では徹底した感染防止対策を実践している」との見解も表明している。
だが、職員の一人はこう語る。
「病院では、5月15日に4階のフロアから入院患者2人の感染が発覚しました。取り急ぎ5人部屋の416号室を空け、2人の陽性者をそこに隔離した。病院側の感染対策に大きな疑問が生じたのは、更に3日後、5月18日からの対応です」
この日、「レッドゾーン(汚染区域)」と位置付けた416号室からは最も離れた407号室で1人、408号室で2人、計3人の陽性者が発覚した。
「彼らをレッドゾーンの416号室へ移動させると思いましたが、陽性者をそのまま同じ部屋に留めおいたのです」(同前)
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source : 週刊文春 2021年7月1日号