熱狂のザ・タイガース 2

ジュリーがいた

島﨑 今日子
エンタメ 芸能 テレビ・ラジオ 音楽

「すべてはGSから始まった」。音楽もファッションも、彼らの何もかもがかっこよかった。大人がどんなに批判しようと、少女たちの熱狂はやまない。

 

(しまざききょうこ 1954年、京都市生まれ。ノンフィクション・ライター。著書に『森瑤子の帽子』『安井かずみがいた時代』『この国で女であるということ』『だからここにいる』などがある。)

 合宿所にファンが大挙して押しかけて部屋をのぞきこみ、ついに機動隊まで出動して整理にあたった。ジャズ喫茶の鉄の扉が人に押されてしなる。移動の時はパトカーが先導し、信号を止め、停まらないはずの駅で新幹線を停止させた。コンサートとなると、取材陣が大型バスを何台も連ねてやってくる――古い雑誌にはそうした熱狂の風景が記録されていた。渡辺プロダクションにも、ザ・タイガースやジュリーの凄まじい人気を語り継ぐ伝説がいくつも残っている。

 そのひとつに、「100年に1人の美貌の人・ジュリー」がある。いかに沢田研二が美しかったか。

「ファニーズが京都から上京してきた瞬間、渡辺プロの女性タレントは全員が全員、ジュリーにポーッとなったそうです。この世のものとは思えないほど美しい男だって。中尾ミエさんとかみんなが、うっとりして卒倒しちゃったらしいんですよ」

 証言者の音楽プロデューサー・森弘明(※)は1969年に渡辺プロに入社した大卒8期生、同期にアミューズの大里洋吉会長、スペースシャワーネットワーク創設者の中井猛がいる。森は、70年1月から翌71年1月の解散コンサートまでを、タイガースの現場マネージャーとしてメンバーと共に過ごした。69年3月には加橋かつみが脱退して、岸部修三(現・一徳)の弟、岸部シローがメンバーに加わっていたものの、タイガース人気は一時の勢いを失い、グループサウンズ(GS)ブームも火が消えようという時期だった。

初回登録は初月300円で
この続きが読めます。

有料会員になると、
全ての記事が読み放題

  • 月額プラン

    1カ月更新

    2,200円/月

    初回登録は初月300円

  • 年額プラン

    22,000円一括払い・1年更新

    1,833円/月

※オンライン書店「Fujisan.co.jp」限定で「電子版+雑誌プラン」がございます。ご希望の方はこちらからお申し込みください。

有料会員になると…

世の中を揺るがすスクープが雑誌発売日の1日前に読める!

  • スクープ記事をいち早く読める
  • 電子版オリジナル記事が読める
  • 解説番組が視聴できる
  • 会員限定ニュースレターが読める
有料会員についてもっと詳しく見る
  • 0

  • 0

  • 0

source : 週刊文春 2021年7月8日号

無料ニュースレター登録はこちら

今すぐ登録する≫

新規登録は「初月300円」から

今すぐ登録する≫