コロナ禍の中小企業を救う給付金を騙し取った経産省キャリア。一人はタワマン住まいで豪遊の日々、一人は「夢は総理」で司法試験にも合格。華麗な履歴書の裏側にあったのは、堕落したエリートのもう一つの物語だった。
都内有数の一等地である千代田区一番町に建つ超高級マンションの14階。分譲価格は2億円を軽く超える約90平米、3LDKの部屋からは皇居や霞が関の官公庁街が見下ろせる。高級時計を腕にはめ、BMWなど複数の外車を乗り回すこの部屋の住人は、経済産業省の若手官僚だ。なぜ一公務員の彼が、これほど優雅な“セレブ生活”を送れていたのか。
新型コロナウイルスの影響を受けた事業者を救済するための「家賃支援給付金」を騙し取ったとして、経産省産業資金課係長の櫻井眞容疑者(28)と、同省産業組織課の新井雄太郎容疑者(28)が逮捕されたのは6月25日のこと。


「新井は苗字の“新”と櫻井の“桜”をとって『新桜商事』というペーパーカンパニーを2019年11月に設立し、代表取締役を務めていました。昨年3月に社長を新井の母親に変更したものの、実質的には新井が経営している。その新桜商事が昨年12月頃、虚偽の賃貸契約書を使って中小企業庁に家賃支援給付金を申請。コロナ禍で売り上げが減少した法人に最大で600万円が国から給付される制度を悪用し、550万円を詐取した疑いがもたれている」(社会部記者)
給付金制度を熟知したキャリア官僚の2人が、経産省の外局である中小企業庁所管の給付金制度を悪用した事件。ある経産省の職員は、2人について「ごく普通の真面目な職員という印象」と評したが、彼らには、職場では一切見せない“裏の顔”があったのだ。
神奈川県の鎌倉市で育った櫻井は、慶應大学の付属中学から慶應義塾高校に進学した。周囲の友人には「ドイツ生まれ」と自慢げに話し、「AKB48のCDを箱買いし、クラスで配ったりしていたのが印象的だった」(同級生)という。
当時から金回りがよかった櫻井の噂は、別の慶應付属校まで轟いていた。
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source : 週刊文春 2021年7月8日号