政界引退する“イブキング” 真の敵は共産より二階だった

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「週刊文春」編集部
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 京都大学、大蔵省出身、知性派ゆえの「上から目線」で付いたあだ名はイブキング。自民党の伊吹文明・元衆院議長(83)が6月28日、政界引退を表明した。

 その引退をとりわけ惜しんだのは京都1区で戦い続けた共産党の穀田恵二・国会対策委員長。最後の中選挙区だった1993年は穀田氏が伊吹氏を抑えてトップ当選したが、小選挙区となった96年以降は伊吹氏が8回連続で上回った(穀田氏は比例復活)。

 穀田氏は会見で、「寂寥の感を否めない。もう一度雌雄を決したかった。一言居士というか、発言に重みがあった。特に森友・加計疑惑の時に『おかしい』と言ったことは忘れられない」などと激賞。伊吹氏が2008年に上梓した料理本『いぶき亭 四季の食卓』を贈呈され、感想をしたためたことも披露した。一方の伊吹氏も「感想をもらったのは穀田君と(同じ共産の)市田忠義君だったよ」と笑顔で語ったという。

 伊吹氏にとって穀田氏が「永遠の好敵手」とすれば、「内なる敵」は、二階俊博幹事長だった。亀井静香氏、平沼赳夫氏らが自民党を離党した後、後任の志帥会領袖となった伊吹氏だが、12年末に衆院議長になると後継は二階氏に。「09年にたった3人で志帥会に合流した二階グループでしたが、持ち前の『人たらし力』でいつの間にか派を乗っ取った。二階氏の原点は旧田中派で親中。そもそもタカ派路線の志帥会とは水と油だが……」(政治部記者)

 二階氏は16年に幹事長に就任すると、直後から志帥会の名を変えようと画策。結局、伊吹氏の猛反対で失敗に終わった。毎週木曜日の派の例会での伊吹氏の挨拶について二階氏は「あの人は頭がいいから同じ話ばかり。途中で席を立ったよ」と苦々し気に揶揄し続けた。

「自民党には昔から党人派と官僚派の戦いがあった。田中角栄と福田赳夫の角福戦争が象徴的。互いが切磋琢磨し、党の多様性を育んだ。伊吹氏はまさに官僚派だが、近年の二階氏や菅義偉首相らは党人派というより強権人事や恫喝が得意な“オラオラ系”。切磋琢磨の雰囲気はなくなった」(政治部デスク)

 伊吹氏には経産官僚で、目下、内閣官房でオリパラ推進本部事務局の統括官を務める長男(54)がいるが、経産省幹部は「ご長男は官僚として優秀。今の政界は威張り散らすばかりで知性のない議員だらけ。伊吹氏も送り込みたくないんでしょう」と推し量る。実際、伊吹氏は「国会議員の職は個人のものではない」と明言し、元総務官僚の擁立が決まった。一方の二階氏は世襲しか頭になく、次々衆院選で息子に譲ると囁かれている。

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source : 週刊文春 2021年7月15日号

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