「かつての秘書を処分できず、離党もなかなか飲ませられないとは……」
政治部記者がこう呆れるのは立憲民主党の枝野幸男代表(57)のことだ。東京への四度目の緊急事態宣言発令が決まった7月8日、枝野氏は記者団の取材に「同じ失敗を何の工夫も努力もなく繰り返す。統治能力、政権担当能力の欠如と言わざるを得ない」と意気軒昂に菅義偉首相を断じた。だが、「枝野氏自身も首相並みに説明責任を果たさなかった」(前出・記者)。
取材の最後の話題は、約9年も枝野氏の秘書だった本多平直衆院議員のこと。「50歳近くの自分が14歳の子と性交したら同意があっても捕まる。おかしい」と発言し、激しい批判を浴びた同氏の処分をめぐり、党はまず第三者でつくるハラスメント防止対策委員会に判断を委ねた。枝野氏はその先行きを問われ、「独立機関なので直接把握していない」と“我関せず”としたのだ。
立憲関係者によると、ハラスメント委は「倫理的には許されざる発言だが、内輪のワーキングチームでの発言でもあり、処分までする法的根拠はない」との立場で、除名や離党勧告は難しいという。党は本多氏に自発的な離党を求めたが同氏が拒否。本多氏の妻の西村智奈美衆院議員も離党を促す党に反発した。
「元秘書の失態だけに、枝野氏が早い段階で泣いて馬謖(ばしよく)を斬らなければならなかった。結局、説得しきれず、党倫理委員会に党員資格1年停止を諮ることになって決断力のなさを改めて露呈した。これでは支持者も離れていく」(立憲中堅議員)
東京都議選をみても立憲への期待感は薄い。立憲は7議席増とはいえ15議席。共産党(19議席)よりも少なく第5党に沈んだ。
「これはリーダーとしての枝野氏の資質の限界。かつて民主党を政権交代まで引っ張った小沢一郎氏とは雲泥の差だ」(政治部デスク)
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source : 週刊文春 2021年7月22日号