「打ち方を変えなきゃだめだ」落合は、筋道立てた打撃法を和田に説いてみせた。
(すずきただひら 1977年千葉県生まれ。日刊スポーツ新聞社に入社後、中日、阪神を中心にプロ野球担当記者を16年経験。2019年よりフリー。著書に『清原和博への告白 甲子園13本塁打の真実』、取材・構成担当書に『清原和博 告白』、『薬物依存症』がある。)
2010年の和田一浩は不思議なギャップの中にいた。
ペナントレースが佳境に入った9月5日、優勝を争う巨人との最終戦で、和田は自己最多に並ぶシーズン33本目のホームランを放った。骨折した左足から伝わる痛みとスタンドへ一直線に伸びる打球、38歳の年齢と自分を更新していく成績、それら、自身に起こっている矛盾の元をたどれば、すべては落合の一言から始まっていた。
「打ち方を変えなきゃだめだ――」
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source : 週刊文春 2020年12月17日号