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白鵬 パワハラ相撲が許されないこれだけの理由

「週刊文春」編集部
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優勝インタビューでは破顔一笑
優勝インタビューでは破顔一笑

「勝ちさえすれば何をやってもいいのかという思いをファンに植え付ける、横綱の名を汚す相撲でした」

 名古屋場所で45度目の優勝を果たした横綱白鵬(36)をこう評するのは、相撲評論家の中澤潔氏。白鵬の相撲はなぜ問題なのか。

 昨年11月、横綱審議委員会は休場を繰り返す白鵬に対し、「引退勧告」に次ぐ「注意」を決議している。

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「横綱は休場中も月300万円の給料が支給され、番付も落ちない特権がある。それは横綱にふさわしい相撲を期待されるが故ですが、歴代横綱は自分の相撲が取れなくなったら潔く引退したもの。だが、白鵬は特権を享受するばかりで、今場所までは6場所連続の休場を続けた」(相撲担当記者)

 2010年夏場所、立ち合いで変化してきた鶴竜に対し、「あれじゃあダメだね」と憤った白鵬。だが、今場所は後輩力士だと激怒することを自身がやる、まさに“パワハラ相撲”で賜杯を手繰り寄せたのだ。

 13日目までは往年の強さの片鱗を見せたが、14日目、大関正代との一番。仕切り線から大きく下がる異例の立ち合いを見せ、場内は騒然となった。前出の中澤氏はこう呆れる。

「みっともない仕切りです。出足を一気に持っていかれることだけを警戒して、あんなに後ろに下がって……。まさになりふり構わず、何でもやるんだなと」

 横綱審議委員会の元委員長・守屋秀繁氏は、横綱の品格のなさを問題視する。

「横綱としての立ち居振る舞いや品格は気にも留めず、ただ勝つことだけが彼にとって価値があるのでしょう」

 白鵬の取り口は怪我の危険性もはらんでいる。大関照ノ富士との全勝対決となった千秋楽では、顔面を狙った右肘でのかち上げに加え、張り手を数発連打。最後は腕をかためて強引に投げて勝利し、ガッツポーズまで見せた。こうした相撲は過去に何度も見られ、その度に批判を浴びている。

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「12年の秋場所ではかち上げされた妙義龍が土俵上で意識を飛ばし、脳震盪と診断。19年の九州場所では遠藤相手に張り手とかち上げを食らわせ、遠藤は鼻血にまみれた。今場所では千秋楽でモンゴルの後輩・千代翔馬が小兵の宇良相手に強烈なアッパー気味の張り手を繰り出したが、横綱が許されるのなら自分も、といった悪影響が心配されます」(前出・記者)

 守屋氏はこう話す。

「左手を相手の顔面の前に出してたじろがせ、右肘をガーンとぶつけても、白鵬には『ルール違反ではないんだから、文句を言う人たちは一体なんなんだ』という感覚があるんじゃないか」

 こんな“パワハラ相撲”では、ファンが望む名勝負など生まれるべくもない。

「横綱を目指す後輩が向かって来るんだから、正々堂々、ぶつかってほしかった。だが、横綱がやっちゃいけないことをみんなやってましたね。それを優勝という絶対的なものでカバーして『まだ俺はやれる』と虚勢を張っている。これでまた休んでも、相撲協会は文句言わないだろうと、そういう気持ちがありありと出ていました」(前出・中澤氏)

 優勝インタビューでは「あと1勝で(横綱)900勝なので、1勝目指して頑張っていきたい」と語った白鵬。

「本人はまだやる気の様子。ファンのためにも、数場所休んで復帰するというリズムを繰り返さないよう願うばかりです」(前出・記者)

 溜め息が歓声に変わるような名勝負を見たいものだ。

source : 週刊文春 2021年7月29日号

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