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ラグビー森会長の“新リーグ順位操作”をスッパ抜く

「週刊文春」編集部
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2019年から会長を務める森氏
2019年から会長を務める森氏

「やっぱりやられたか、と。最終的に会長が独断で決めるのだったら、中立性や公平性は担保されない」

 ラグビー新リーグの順位付けを巡り、こう憤るのはあるチームの幹部だ。

 7月16日、来年1月に開幕する新リーグ「ジャパンラグビーリーグワン」の概要が日本ラグビー協会から発表された。参加24チームが3つのディビジョンに振り分けられ、1部リーグは12チーム、2部、3部が各6チームとなる。

「1部と2部ではスポンサー獲得やチケット収入に大きな差が出る。チームの未来がかかっており、リーグ分けが決まる順位審査には各チームとも神経を尖らせていた」(別のチーム幹部)

 審査は客観性と公平性を保つため、各チームと利害関係がなく、ラグビー協会から独立した形の「審査委員会」に全面的に託された。

「審査方法は2021年シーズンの成績だけではなく、事業性、社会性、競技力の3つの指標で評価された。各チームの収益の見込みや自治体との連携度合い、ジュニア育成への取り組みなども重視。競技力が高いチームが1部に上がれるわけではなかった」(スポーツ紙記者)

 協会理事(当時)の谷口真由美氏を委員長に据え、各チームから提出された資料やプレゼンなどをもとに昨年9月から審査をスタート。今年1月には各チームに暫定順位の中間報告をした。

 6月中旬、すべての審査を終えた委員会は協会側に最終結果を報告。ところが、ここで動き出したのが森会長、といっても森喜朗氏ではなく、“ヒゲ森”の愛称を持つ森重隆氏(69)だった。

「森会長が委員会の審査結果に不服を申し立てたのです。会長は自身で諮問委員会を立ち上げ、再検証を始めました」(同前)

協会がチームに通知した最終結果の順位表
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 小誌が確認した内部資料によると、審査委員会が決定した順位は、1部リーグ入りの12位が「近鉄ライナーズ」、2部リーグに落ちる13位は「トヨタ自動車ヴェルブリッツ」だった。

「しかし森会長は、21年シーズンの競技成績と事業運営力の配点をトヨタに有利になるように修正。それにより、プレーオフトーナメントでベスト4に入ったトヨタの得点が高くなり、12位に浮上。1部に“昇格”したのです」(同前)

 今年1月、暫定順位が各チームに伝えられた頃、森会長は関係者に「幹事のチームから順位付けの不満を相談されている。『最終的には俺が決めたる』と言ったわ」と語っていたという。

「幹事のチーム」とは協会とチーム側の取りまとめ役で、トヨタも含まれている。

 さらに審査委員会から順位の報告を受けた際、森会長は周囲にこう漏らした。

「近鉄が1部でトヨタが2部なんてファンが納得しないだろう。俺は会長として発表できない」

 2部リーグに落ちた近鉄は当然、激怒した。

「決定後、協会と面談した近鉄サイドは森会長に『会長が最終的に決めるなら、審査の資料は全部ご覧になられたんですよね?』と問いただした。すると会長は『資料は見ていない』と言ったのです」(協会関係者)

 協会は審査結果に修正を加えたことを認め、「1部整合性が取れないので再計算をした」と説明している。

 森会長はなぜ再検証を決めたのか。電話で直撃した。

――トヨタが2部なのは納得できなかった?

「いや~、そんなことないですけどね! 全体的にみて、審査委員会はおかしかったから、もう1回検証しようと。評価の仕方すべてです。競技力ですね」

――トヨタから相談を受けたことは?

「まったくないです。どこからもなかったです」

――恣意的な修正では。

「それはないです。谷口委員長が『再考します』と言っていれば通っていた。審査委員会が決めるけれども、決定権は私にありますから。(委員会は)無視ですよ、無視。ひどいですよ。それは書いていただきたい」

――公平性が保たれますか。

「向こう側(委員会)は委員のメンバーも教えなかった。どういう評価点をするかとか、競技力をどうするかとかは最後までオープンにしなかった」

 審査委員会委員長だった谷口氏は「審査の過程についてはお話しできないので」としつつ、こう答えた。

「審査委員会は、審査にベストを尽くしました。協会の方針が、審査委員会の判断とは異なり、変更されたと認識しています」

 トヨタは「本件に関してトヨタ側から日本ラグビー協会に相談した事実は一切ございません」と回答。

 協会はワンチームならぬ“ワンマンチーム”なのか。

source : 週刊文春 2021年7月29日号

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