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「障がい者イジメ」小山田圭吾“一派”を抜擢したのは「渡辺直美侮辱男」だった

「週刊文春」編集部
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作曲担当を辞任した小山田氏
作曲担当を辞任した小山田氏

〈全裸にしてグルグルに紐を巻いてオナニーさしてさ。ウンコを喰わしたりさ。ウンコ喰わした上にバックドロップしたりさ〉(「ロッキング・オン・ジャパン」94年1月号)

〈障害がある人とかって言うのは、なぜか図書室にたまる(略)きっと逃げ場所なんだけど〉(「クイック・ジャパンvol.3」95年7月刊)

 そう語っていたのは、五輪開会式の作曲担当を辞任した小山田圭吾氏(52)。なぜ「障がい者イジメ」を自慢するような人物が、「多様性と調和」を掲げる五輪の式典に抜擢されてしまったのか――。

「クイック・ジャパンvol.3」(95年7月刊)
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 これまで演出責任者の交代が繰り返されるなど、迷走を重ねてきた開会式。開幕を目前に控えた7月14日、組織委員会は演出チームのメンバーを発表した。

「ところが、その直後、小山田氏の『障がい者イジメ』が明るみに出たのです。小山田氏は2日後の16日に謝罪文を公表。ただ組織委は〈過去の発言は把握していなかった〉とした上で、一旦は〈現在は高い倫理観をもって創作活動に献身するクリエーターの一人であると考えている〉と続投を決めた。しかし国内外の反発を受け、結局、小山田氏は19日に辞任を発表しました」(五輪担当記者)

 一体、小山田氏とはどんな人物なのか。

「89年、中学時代の同級生・小沢健二らとバンド『フリッパーズ・ギター』を組んでデビューを果たしました。91年の解散後は『コーネリアス』名義でソロ活動を行う傍ら、レコードレーベルを立ち上げた。90年代の音楽シーンを席巻した“渋谷系”の代表格です。オノ・ヨーコがジョン・レノンと共に立ち上げた『プラスティック・オノ・バンド』のレコーディングにも参加しています」(音楽ライター)

 父親は昭和の歌謡コーラスグループ「和田弘とマヒナスターズ」の三原さと志で、母方の叔父は日本歌手協会の会長を務める歌謡界の重鎮、田辺靖雄氏だ。

 その田辺氏が語る。

「彼の音楽は一部のコアな人たちに受けるファッションみたいなもの。サブカルチャー的な仕事で有名になる中で、楽屋のノリで喋ることを良しとしたのかもしれませんが、あまりにも生々しすぎます。僕たちの仕事は半ば公人であることを弁(わきま)えるべきなのに……」

 小山田氏が「障がい者イジメ」をしていたのは、小学校から高校まで通った都内の私立・A学園。中学の同級生で、府中市議を務める稲津憲護氏が振り返る。

「A学園には、裕福な家庭や芸能人の子供が多い。制服はなく、ファッションセンスやお金持ちかどうかで友達同士の“順位”が決まる雰囲気がありました。おやまっちゃん(小山田氏)はギターをやっていてオシャレで、やんちゃなグループだった。一方で、A学園は多様性を重視する教育方針を掲げており、障がいを持つ子供たちも健常者と同じクラスで学んでいました」

 小山田氏は謝罪文で〈事実と異なる内容も多く記載されております〉などと綴っていたが、別の同級生はこう証言する。

「小山田君たちがイジメをしていたのは有名な話です。掃除用具を入れるロッカーに閉じ込め、出口が下になるように倒して出られないようにしたり、真冬なのに無理やり教室からベランダに出させて鍵を閉めてしまう。その場面を写真撮影して『いえ~い、締め出してやったぜ』と喜ぶ生徒もいました」

 学生時代の冗談では済まない振る舞いは、それだけではない。前出の「ロッキング・オン・ジャパン」では、万引きの“常習犯”だったことも明かしている。

〈調布のヘンなショッピングセンターみたいな超万引き場所みたいなのがあってさ。で、最初はくだらないもん盗んでたんだけどだんだんエスカレートして〉、〈マジで100万近くになっちゃってて〉

「障がい者イジメ」に「万引き」。そんな小山田氏がなぜ、五輪開会式の作曲担当に抜擢されたのか。

「全ては、佐々木氏から始まったのです」

 そう明かすのは、組織委の元幹部である。

佐々木氏を直撃すると……

「佐々木氏」――小誌が3月18日発売号で、タレント・渡辺直美の容姿を侮辱するプランを提案していたことを報じた佐々木宏氏のことだ。電通出身の佐々木氏は“クリエイターの天皇”と呼ばれる人物。だが昨年5月、開会式の演出責任者だったMIKIKO氏を水面下で“排除”し、自らが責任者に就任した。

渡辺直美

 今回に連なる事態が動き出すのは、そこからだ。

「MIKIKO氏が電通幹部に送ったメールによれば、佐々木氏は昨年8月、しばらく連絡を取っていなかった彼女を呼び出した。その後、『小林さんに五輪開会式の手助けをして欲しいと打診し、快諾を頂けた』と告げたというのです」(同前)

 開閉会式全体のショーディレクターに就任することが発表された、お笑いコンビ「ラーメンズ」の元メンバーで、舞台演出家の小林賢太郎氏のことだ。

「昨年12月、MIKIKO氏や椎名林檎氏らが中心を担っていた演出チームは正式に解散しましたが、佐々木氏と小林氏はそのままメンバーに残りました。結局、佐々木氏は侮辱問題を受け、3月18日に辞任したものの、佐々木氏が招き入れた小林氏が演出を統括する体制になっているのです」(演出関係者)

 小林氏と言えば、「サブカル界のカリスマ」として知られる人物だ。今回の演出メンバーには、その流れを汲む面々が目立つ。

「その一人が、作曲を担当する小山田氏です。開会式の音楽監督に就任したDJの田中知之氏も“渋谷系”の代表格で、小林氏とユニットを組んだりしてきた。つまり元を辿ると、彼らのような“小山田一派”を抜擢した人物こそ、佐々木氏だったのです」(同前)

 当事者たちは、今回の問題をどう受け止めているのか。佐々木氏に話を聞いた。

――小林氏を演出メンバーに招き入れた?

「それは、もちろんそうです。小林さんは存じ上げておりますし、私がパラリンピック(の責任者)をやっている時にオリンピックの閉会式をお願いするっていう形で入って頂いた」

――小山田氏について。

「全然、お会いしたこともないので。ただ、もちろん、小林さんとか、今のメンバーの方が選んでいると思いますけど」

 小山田氏にも事実関係の確認などを求めたところ、事務所から連絡があった。小林氏から演出チームに招き入れられた点は否定したものの、詳細については、

「組織委との守秘義務において、お答えすることができません」

 と回答するのみだった。

演出責任者を辞任した佐々木氏

 小林氏と田中氏にも確認を求めたが、期日までに回答はなかった。

「小山田氏が雑誌で『障がい者イジメ』を自慢していた過去は、サブカル界では知られた話でした。開会式の場で東京が打ち出すメッセージが注目される中、危機管理能力に欠ける組織委はゴーサインを出してしまったのです」(前出・組織委元幹部)

 佐々木氏の辞任から4カ月。組織委の体質は、何も変わっていなかった。

組織委の橋本聖子会長

source : 週刊文春 2021年7月29日号

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