「ワクチンめぐるフェイク情報拡散」|池上彰

池上彰のそこからですか!? 第488回

池上 彰
ニュース 社会 メディア 医療

 新型コロナワクチンの接種は終わりましたか? (私のような)高齢者の間では、これが挨拶代わりになっています。職域接種も進み始めていますが、「接種は受けない」と言う若い人たちも多いようです。もちろん受ける、受けないは個人の自由ですが、中にはネット上に拡散するフェイク情報を真に受ける若者も多いようです。そこで今回は、どんなフェイク情報があるのか、そしてそれはなぜかを考えます。

 まずは「副反応が怖い」という人がいます。私の場合、2回目のワクチン(モデルナ)接種を受けた翌日、38度台の熱が出ました。事前に予想していましたから、別に慌てませんでした。2回目の接種日が決まってから、翌日と翌々日の予定をすべてキャンセル。解熱剤も入手して発熱に備えていましたので、仕事に支障はありませんでした。

 この発熱は病気ではなく、副反応ですから、熱が下がれば、いつもの体調に復帰。すぐに元気になりました。「副反応で熱が出てねえ」などと言うと、まるで高齢者の「病気自慢」のようになりそうなので、言いふらすのは自粛していますが(と言いながら、ここで公開していますが)。

 ちなみに「副作用」と「副反応」の言葉の使い方の違いをご存じでしょうか。英語ではどちらも「サイド・エフェクト」なのですが、日本語では使い分けています。

 副作用は、特定の病気の治療のために投与された薬によって思わぬ結果が出たときに使います。有名なものではバイアグラがあります。これはファイザー社が狭心症の治療薬を開発していたところ、治療の効果は望めなかったものの、男性の勃起を促進させるという思わぬ副作用が判明。「こっちの方が有望だ」として目的を変えて発売。ヒット商品になりました。こんな副作用もあります。

 話が脱線しました。一方、副反応は、ワクチンのような予防薬の投与によって起きる症状をいいます。ですから、コロナワクチンで起きるのは副反応というわけです。

 こうしたワクチンに対する警戒心を招いたのは、1998年にイギリスの医者が発表した捏造論文がきっかけだったと言われています。

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source : 週刊文春 2021年8月5日号

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