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ワクチン副反応、本当に大丈夫?

《発熱 やっていいこと、ダメなこと》《3日続くと要注意》《胸の不快感心筋炎の可能性が》《モデルナアームの対応策》

「週刊文春」編集部
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職域接種も進んでいる
職域接種も進んでいる

 モデルナ製ワクチン2回目接種の4人に3人が37度5分以上の発熱。

 7月21日、厚労省予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会が驚きの調査結果を報告した――。

 64歳以下のワクチン接種が本格化したことで、報告される副反応が様変わりしている。これまでの副反応のデータは主にファイザー製だったが、次第にモデルナ製も集まっている。

 そこで明らかになったのが接種翌日に76%、翌々日は22%の人に37度5分以上の発熱があったという結果だった。ファイザー製の場合、翌日36%、翌々日7%にとどまる。

 となると、これから接種する場合、ファイザー製を選んだ方がいいと思ってしまうが……。厚労省予防接種・ワクチン分科会委員で、川崎市立看護短期大学の坂元昇学長が語る。

「私の学校の看護学生は、医療関係者の枠でファイザー製の2回の接種を終えましたが、それでも若いためか強い副反応が出て、40度近く出て寝込む学生もいました。ただ後遺症を引きずっている人はいません。

 ワクチンには発症予防だけでなく、感染の抑制効果もある。デルタ変異ウイルスの拡大もあり、早く打てる方を予約すべきです

 
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 発熱した場合、解熱剤を飲むのは差し支えないという。アセトアミノフェン(市販薬ならカロナールなど)が効果的と流布されたため、品薄となる薬局も出た。ナビタスクリニックの久住英二理事長は言う。

「タイレノール、イブ、ロキソニン、バファリン等々、自宅にある解熱剤で十分和らぎます。アセトアミノフェンしか効かないということはありません」

 ただし、76%も発熱するのなら事前に飲んでおこう、というのはNGだ

「コロナに限らず、予防接種の前にあらかじめ解熱剤を服用すると免疫のレベルが下がる可能性があり、推奨されません」(坂元氏)

発熱が3日続いた場合は…

 現役世代の中には、副反応による発熱とわかっているのなら、我慢して仕事をしてもいいと考える人もいるかもしれない。だが、多摩ファミリークリニックの大橋博樹院長が指摘する。

「十分な免疫ができるのは2回目接種後、1週間以降とされており、それまではコロナに感染する可能性があります。つまり、副反応と思ったら実はコロナ感染だったというケースも結構あるのです。熱を押しての外出はやめましょう。接種翌日はあらかじめ休暇を取っておくのがベストです」

 ファイザー製でもモデルナ製でも、接種翌日から3日目で発熱がある人は数%に激減する。裏を返せば、3日目以降が要注意だ。

「1、2日で熱が一気に引くのが副反応の特徴なので、微熱でも3日続けば病院で診断を受けるべきです。特に喉の痛み、咳、鼻水の症状があれば、副反応とは考えにくい」(大橋氏)

 2回目接種後の副反応として、新たに指摘されたのが心筋炎・心膜炎だ。6月23日、副反応検討部会で初めて取り上げられた。久住氏が解説する。

「心臓を包む筋肉や膜に炎症を起こすもので、初期症状は発熱など風邪と見分けがつかない。しかし数日たって息切れ、むくみといった心不全の兆候や胸の痛みが出てきます。40歳未満の男性に多いのが特徴。コロナ感染が引き起こすケースは報告されていましたが、副反応でも発症することがわかってきました」

 ただし発症は極めてまれ。厚労省に報告があったのはファイザー製31件、モデルナ製1件だ。

「アメリカの報告でも、ほとんどの人が軽い症状で済んでいます。日本循環器学会も7月21日、『大半は軽症である』との声明を出しました。もしワクチン接種後、胸の痛みなどの不快感、呼吸困難、脈拍の乱れを感じた場合は、念のために受診しましょう」(同前)

 副反応が数日で収まったとしても油断は禁物だ。7月上旬、職域接種でモデルナ製ワクチンを打った都内の40歳代女性が語る。

「1回目接種から8日後の夜、突然、左腕の上腕がかゆくなって目覚めました。虫さされの薬を塗り、翌朝起きると真っ赤に腫れ、触ると痛い。2日ほどで痛みはなくなりましたが……」

 いわゆる「モデルナアーム」の症状だ。

 副反応検討部会の分析結果では、モデルナ製の1回目を接種して8日目以降、発赤(皮膚が赤くなる)、かゆみの症状が出た人が3~4%いた。ファイザー製は0%台のため、モデルナ製特有の症状と見られている。30~40代の女性に多く、発赤の範囲は10日目で平均6.9センチ、最大20センチの人もいたという。

 なぜモデルナ製に出るのか。実は、メカニズムはよくわかっていない。

「アレルギー反応には急性反応と遅延反応があり、接種直後に出るアナフィラキシーは急性反応。モデルナアームは遅延反応と見られます。ファイザー製とモデルナ製の主な違いの一つはmRNAを包んでいる殻。ただその殻の成分を皮膚につけるパッチテストでも反応は起きず、もっと複雑な反応と見られます」(坂元氏)

 主な副反応は2回目の接種で強く出るのに対し、モデルナアームは1回目が強いという。

「1回目しか起こらない人もいます。両方なったとしても1回目より発症までの期間は短く、痛みやかゆみが増すことは少ない。勿論、個人差はあります」(同前)

 対応策はどのようなものか。大橋氏が言う。

「赤くなるだけなら問題ありません。何人か診察に来られましたが、その場合、何も処方しませんでした。1週間ほどで消えます」

 痛みやかゆみがある場合は要注意だ。

「冷たいタオルを当てれば落ち着くはずです。かゆみならステロイド軟膏を塗ったり、痛ければ解熱鎮痛剤を飲んでかまいませんが、冷やしても我慢できないなら、病院で処方してもらうほうがよい」(同前)

 というのも、今の薄着の季節だと、副反応でない可能性もあるからだ。

「モデルナアームは、数日で痛みやかゆみは引きます。刺し口があったり膿が出ている場合、ダニなどの虫に刺されたり、ばい菌が入ったために腫れているのかもしれません。長引くようなら自分で判断せず、皮膚科を受診しましょう」(同前)

 ワクチンの副反応を過度に恐れることはないが、知識を得た上で、自身の対応策を考えておきたい。

 

source : 週刊文春 2021年8月5日号

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