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自民過半数割れ、立憲伸び悩み、維新3倍増、衆院選289全選挙区予測

久保田 正志
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五輪に期待をかけていた菅首相
五輪に期待をかけていた菅首相

 菅首相が「総裁任期を踏まえ、判断する」と語る解散総選挙。感染拡大で政権に逆風が吹いている中、自民党は踏み留まることができるのか。あの疑惑大臣や不祥事議員、注目選挙区の当落は? どこよりも詳しい完全予測!

(くぼた まさし 政治広報システム研究所代表)

「開会式は過去最高に近い視聴率だった。柔道もかなり強いし」

 56.4%の視聴率を記録した7月23日の開会式、翌24日から始まった柔道の金メダルラッシュを受け、菅義偉首相はそう笑みをこぼしたという。

 だが、2日後の7月26日、首相の表情は一変する。日経新聞の世論調査で、内閣支持率が9ポイント減の34%と報じられたのだ。政権と近いとされる日経での支持率急落。首相は思わずこう漏らすのだった。

「なんで、ここまで下がるのか……」

 政治部デスクの解説。

「菅首相は『五輪で国民は盛り上がる』と口にしてきました。同時に7月末までには高齢者のワクチン接種を完了させ、感染拡大を食い止める。五輪とワクチンで勢いをつけた上で、解散総選挙に踏み切り、総裁選の無投票再選に持ち込む構えだったのです」

 2017年の衆院選で自民党は、小池百合子都知事の“排除”発言などを追い風に予想以上の284議席を獲得していた。それゆえ、一定程度の議席減はやむを得ないところだが、

「それでも、五輪を味方に首相は『30議席減に留められれば』と漏らしていました。その程度の議席減で終われば、自民党は単独過半数(233議席)を優に上回る。無投票再選というシナリオも現実味を帯びてくるはずでした」(同前)

 ところが、事態は菅首相の思惑通りに進まない。五輪開催を機に都内の新規感染者数は急増し、7月31日には一日あたり4000人を突破。これには首相も、

「メディアはワクチン接種率とかを報じずに、一日の感染者数ばかり取り上げている。偏っているんだよ」

 などと、愚痴をこぼすほかなかった。

「感染拡大は止まらず、明らかに政権に逆風が吹いている。来る衆院選で、どのような議席数が予測されるのか。それは総裁選の日程、首相の命運に大きく影響してきます」(首相周辺)

 
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自民支持層が……

 そこで小誌は今回、政治広報システム研究所代表の久保田正志氏とともに、8月1日時点のデータを基にして、全289小選挙区の情勢分析を行った(※当落予想一覧表は記事の末尾にあります)。

 まずは、党派別獲得議席予測から見ていこう。

「東京五輪・パラリンピックは9月5日に閉幕します。今回はその直後に解散したケースを想定しました。その結果、自民党は現有276議席から46議席減の230議席で、単独過半数割れ。コロナ対策への不満が渦巻き、自民支持層の“菅離れ”も目立ちます。これまで逆風を経験していない“魔の3回生”も、約80人のうち半数ほどが小選挙区では敗退するでしょう」(久保田氏)

 一方、野党第1党の立憲民主党は16議席増の125議席と伸び悩んだ。

「立憲は国民民主党と『現職や公認候補がいる選挙区には原則擁立しない』などとする覚書を交わしました。しかし共産党との距離感を巡り齟齬が生じ、野党統一候補の調整は順調とは言い難い。枝野幸男代表の元秘書、本多平直氏が“14歳と性交”発言で議員辞職するなど、トップの責任が問われる事態にもなっています。野党候補の一本化が進めば、更なる議席増も望めるのですが」(同前)

立憲の枝野代表

 立憲を尻目に、約3倍増となる32議席を獲得するのは日本維新の会だ。

「大阪では、吉村洋文知事が根強い人気を誇っている。前回、3つしか勝てなかった大阪の小選挙区も12議席を獲得する予測です。兵庫の知事選でも、元府職員で維新推薦の斎藤元彦氏が当選した。近畿ブロックを中心に比例票も上積みできると見ています」(同前)

維新の吉村知事

ファミリー企業選挙

 では、個別の選挙区を確認していこう。政権への逆風は現職大臣も直撃する。香川1区、平井卓也デジタル相の評価は「C-」だ。

平井大臣の評価は……

「対抗馬は立憲の小川淳也氏です。自民に追い風が吹いた17年の選挙でも、小川氏の惜敗率は97.3%。平井氏はデジタル庁に絡む疑惑が報じられる一方、小川氏は映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』で取り上げられるなど、知名度を高めた。現時点では小川氏が逆転しています」(同前)

 平井氏が所属する岸田派会長、岸田文雄前政調会長によれば、比例復活も容易ではない選挙区だという。

「比例四国ブロックは枠が少なく、前回は3人しか比例復活できなかった。今回もギリギリの戦いになるでしょう。平井はやるしかないでしょうね」(岸田氏)

 7月下旬以降、頻繁に地元に戻っては集会に参加したり、駅前での辻立ちを行なっているという平井氏。だが、頼みの綱は「ファミリー企業」の存在だろう。

「四国新聞社や西日本放送など親族が経営を担う企業が、選挙でも全面的なバックアップを行ってきました」(平井氏の支援者)

 選挙に立候補する候補者は、公平を期すためにポスターやビラ、立て看板などの製作費について、税金が支払われる「公費負担相当額」が認められている。

 平井氏の選挙運動費用収支報告書によれば、14年の選挙では公費負担相当額の合計が約256万円で、17年の選挙では約263万円。全額が高松市内の広告代理店「西日本放送サービス」と「アド・サービス・センター」に支払われている。両社は現在、平井氏の実弟が会長を務めているほか、平井氏も西日本放送サービス株を1800株保有。過去2回の選挙でファミリー企業に、500万円超の税金が支払われている計算だ。

 政治資金に詳しい神戸学院大・上脇博之教授の解説。

「選挙運動で、税金が親族の関連企業に還流している構図は道義的な問題を孕(はら)んでいる。両社に発注しなければいけない必然性があるのか、説明すべきです」

 平井氏に尋ねたところ、書面で次のように回答した。

「発注先の会社は選挙関係の印刷物等の製作実績があります。税金の還流という評価は誤りです」

セクシーヨガは?

 今回の選挙では、派閥間の公認争いが激化している。その象徴が、閣僚経験者が激突する山口3区だ。現職は二階派の河村建夫元官房長官。かたや首相を目指し、衆院鞍替えを決めた岸田派の林芳正元文科相は、無所属での出馬も視野に入れている。だが、久保田氏の評価は河村氏が「C-」で、林氏が「B」。

「地元県連は林氏支持でまとまっている上、公明党が林氏で動くことも。当選10回を数える河村氏ですが、苦しい状況です」(久保田氏)

山口3区は河村氏vs.林氏

 二階氏は昨年10月、20人の二階派議員を引き連れ、河村氏が宇部市で開いた総決起大会に参加。林陣営に「売られた喧嘩は買う」とぶち上げたことも、マイナスに働いているという。

 当の河村氏に聞いた。

「あんなことを言うとは全く想定していなかった。安倍(晋三)さんからも『あれはやりすぎだ』と言われました。ただ、二階さんは今でも『また20人連れて行ってやる。いつでも言ってくれ』と(笑)。相手は『総理を狙う』と上から目線ですから、下からやらないと。年齢(78歳)を不安視されるけど、俺はバイデン大統領と同級生だから」

二階幹事長の続投も焦点の1つ

 リードする林氏は、余裕の表情でこう答える。

「選挙は蓋を開けてみるまで分からない。私はチャレンジャーですから」

 小誌は林氏が文科相時代の18年、公務中の“セクシー個室ヨガ”通いを報道。首相を目指すにあたり、スキャンダルは禁物だが、

――もう通っていない?

「今は行ってません」

 注目されるのが、山口4区選出、安倍前首相の動き。安倍氏と林氏は先代の中選挙区時代から熾烈な争いを繰り広げてきた。

「静観の構えですが、『林さんは(しこりを残さないよう)ほどほどの差で勝ったほうがいい』と漏らしています」(安倍氏周辺)

桜疑惑の秘書が出馬

 むしろ安倍氏が力を注ぐのは、出身派閥の細田派と二階派がぶつかる選挙区だ。

「開会式には出席しませんでしたが、派閥の議員からの応援依頼が殺到し、全国各地を飛び回っている。菅政権で権勢を振るう二階氏の影響力を削ぐのが狙いでしょう」(自民党関係者)

 例えば、群馬1区では尾身幸次元財務相の長女・尾身朝子氏(細田派)と、中曽根康弘元首相の孫・中曽根康隆氏(二階派)の2人が公認を争っているが、

「尾身氏の集会には約900人が集まり、安倍氏は『尾身さんが公認でなくなるのは考えられない』と言い切っていました」(群馬県議)

 新潟2区も、細田健一氏(細田派)と鷲尾英一郎氏(二階派)が公認を争うが、安倍氏は細田氏の会合でも「公認候補は細田さんで決まり」と断言していた。

 久保田氏が解説する。

「予測では中曽根氏が『C+』、細田氏が『B』で、安倍氏と二階氏の“代理戦争”は1勝1敗。ただ、群馬1区は野党が候補者を一本化できた場合、尾身氏と中曽根氏の2人が立てば共倒れは確実でしょう」

 今回の選挙を通じて復権を図る安倍氏だが、桜を見る会の前夜祭を巡り、検察審査会が「不起訴不当」の議決を7月30日に公表した。その桜疑惑のキーパーソンが、長崎1区から出馬する。安倍氏の元政策秘書・初村滝一郎氏だ。

「前夜祭の会場だったホテルニューオータニに、会費に関する口裏合わせを要求したと見られている人物です。番記者が挨拶をしようとしただけで、『今は忙しい!』と怒鳴りつけるなど傲慢ぶりも有名。事務所は桜疑惑で秘書が相次いで退職しており、安倍氏は『厳しい選挙なのに、なんで今出るかなぁ』とボヤいていました」(政治部デスク)

 

 実際、久保田氏の評価も「C-」。駅前での演説を終えた初村氏に声をかけた。

――桜疑惑が残っているが。

「疑惑っていうのがアレなんですけど。むしろ、なんなんだろうな、と」

――番記者に高圧的だと。

「そうなんですかねぇ」

 取材後、支援者の元に向かい、それまでより深々と頭を下げる初村氏だった。

選対委員長の次男も

 ここに来て次々と名乗りを上げているのが、世襲候補だ。例えば埼玉10区では、引退する山口泰明選挙対策委員長の次男・晋氏が公募で公認候補に選ばれた。山口氏は菅首相とは当選同期の間柄で、晋氏は菅氏の秘書官を務めた経験もある。

取材に応じた山口選対委員長

 選挙の責任者でもある山口氏に尋ねたところ、

「県連には『公募にしてくれ』と頼みました。24人が応募しましたが、面接で息子に全く異論なく決まったと聞いています。菅首相は、息子が会社を辞める時に『うちで預かる』と言ってくれた。先輩秘書がいるのに、3カ月間、官房長官秘書官にもしてくれたんです。息子がうちの事務所の秘書になってからは地元回りを熱心にやっていて、首長さんから『泰明さん、すぐに代替わりしても平気だな』なんて言われます」

 と息子への期待を滲ませたが、評価は「C-」と劣勢だ。山口親子だけではない。三重2区は川崎二郎元厚労相の長男・秀人氏、愛媛1区では塩崎恭久元官房長官の長男、彰久氏が公認候補となった。MBAを取得し、四大法律事務所の弁護士だった彰久氏。「C+」評価の本人に聞いた。

――ピカピカの経歴だが。

「内実は本当にいい加減ですから。スキャンダルですか? 何か変なことをしていたら指摘して下さい」

 栃木2区では、西川公也元農水相と栃木県連が対立を深めている。西川氏と言えば、アキタフーズを巡る贈収賄事件への関与が指摘され、内閣参与を辞任した。

「県連は県議の五十嵐清氏の推薦を決めましたが、西川氏が長男・鎭央(やすお)氏を公認させようと二階氏に直談判しています。五十嵐氏は茂木敏充外相の元秘書ですから、二階氏vs.茂木氏の構図。二階氏は『ビタ一文譲るな』と発破をかけているそうです」(地元紙記者)

 久保田氏の指摘。

「ただ現状では2人の自民候補は共倒れで、立憲の福田昭夫氏が『B』評価。漁夫の利を得る格好です」

 それにしても、首相がかつて掲げた「世襲反対」はどこへ消えたのか……。

“銀座3兄弟”の復党

「一番頭が痛いよ」

 息子への禅譲には饒舌だった前出の山口氏がそう溜め息を漏らすのは、“銀座3兄弟”の復党問題だ。

 今年1月、緊急事態宣言中に銀座のクラブを訪問し、離党した松本純氏(神奈川1区)、大塚高司氏(大阪8区)、田野瀬太道氏(奈良3区)。特に、松本氏は麻生太郎副総理の最側近として知られる人物だ。

「麻生氏は何度も『復党させてくれないか』と頼み込み、安倍氏も『もともとの処分が厳しすぎる』と同調していますが、首相は『難しい』と拒んでいる。とりわけ山口氏や、麻生派ながら首相に近い佐藤勉総務会長が強硬に反対しているそうです」(前出・首相周辺)

 

 麻生氏が必死なのも、むべなるかな。松本氏の評価は「C-」。無所属のため、小選挙区で敗れれば、比例復活も叶わないのだ。ただ、松本氏に反省の色は乏しいという。支援者が明かす。

「1カ月ほど前、松本さんが『謝らせてほしい』と町内会の挨拶回りにやってきました。ところが話を聞くと『私は別に悪くない』と主張するばかりで……」

 世襲議員である田野瀬氏は盤石の「A」だが、大塚氏も「C-」と劣勢だ。

銀座通いで離党したマツジュン

 山口氏が続ける。

「反対というか、今の時点では申し訳ないけど。大塚だって、同じ派閥で可愛くて可愛くて仕方がない。(松本氏は最初は1人で行ったと)嘘をついたでしょ。そこが僕もサトベン(佐藤氏)も悩ましいところ。だけど、今のこういう時に復党問題が持ち上がれば、自民党はケジメを付けていないと言われるかもしれないから」

 永田町のマツジュンに“解散危機”が忍び寄る。

有罪議員の選挙区

 不祥事議員の存在で、勢力図に異変が生じた選挙区は他にもある。公選法違反の罪で、懲役3年の実刑判決が下された河井克行元法相。小菅の東京拘置所に勾留されているが、河井氏の支援者が近況を明かす。

「3月に保釈された際は妻の案里さんの暮らす狭いマンションに通いつめ、手料理を食べて『美味しいね』と言い合うなど夫婦仲を深めた、と。案里氏も足繁く小菅に通って、接見のたびに涙を流しているといいます」

有罪判決が下った河井元法相

 その河井氏の広島3区では自民党は候補者を擁立せず、公明党の斉藤鉄夫氏を推薦することを発表した。

 前出の山口氏が語る。

「自公連立の象徴として公示第一声は広島3区と決めています。人を褒めない麻生さんが『斉藤さんはIQが200もあるし、能力が高い。この世界はやってないのに“やった”と言う奴が多いけど、斉藤さんはやったのに“やった”と言わない。政治家の鑑だ』と褒めていたほどです」

連立を組む公明党の山口代表

 だが、自公は一枚岩とは言い難い。岸田氏率いる自民党広島県連は石橋林太郎県議を擁立したが、石橋氏が比例に回ることになった。

 その岸田氏が言う。

「公明は比例票がどんどん減る中で、小選挙区で取れないか、と。それで、自民党が出せない河井の広島3区に。強引な面もあるけれど、そういう発想だろう」

 ただ、広島と言えば、宏池会の金城湯池だが、

「河井克行は菅グループだからウチと関係ないよ。河井の不始末を宏池会が責任持つという考えはないから」(同前)

 そうした状況で「C+」を得たのは、斉藤氏ではなかった。語学関連企業の取締役を経て、立憲から出馬するライアン真由美氏。ニュージーランド人と結婚し、現在の姓になったという。

 ライアン氏が語る。

「私は、大田区出身で広島と地縁はありません。だけど、広島は国際都市であり、世界中の祈りの地です。特別な、神聖なところと考えて、熱望してきました」

 有罪判決が確定した元閣僚が、東京9区の菅原一秀前経産相。党選対関係者は「候補者を擁立したい」と語るが、現時点では未定。元朝日新聞記者で立憲の山岸一生氏が「C+」評価だ。

小池氏が語った言葉

 一方、IR汚職事件で収賄罪に問われ、自民党を離党した秋元司氏。7月8日、懲役5年が求刑され、9月7日に判決が下される予定だ。それでも二階派に籍を置き続け、東京15区からの出馬を明言している。

辻立ちを続ける秋元氏

 地元の駅前で演説を行う秋元氏を直撃した。

「文春さんも、色々書いてくれたねぇ。でも公判は100%無駄。やってないことはやってないから。俺の公判記録読んだ? 171頁。どんどん読んでよ。最高裁まで戦いますよ」

――二階さんとは?

「電話で話しますけど、直接会ったのは本会議だよね。『とにかく頑張れ』と」

 だが、秋元氏は「C-」と劣勢。野党系無所属の柿沢未途氏が「B」評価だ。

 菅原氏、秋元氏の選挙区のみならず、首都・東京で自民は都議選に続き、厳しい戦いを強いられている。

 久保田氏が解説する。

「17年の選挙では、希望の党の迷走もあり、自民は公明の東京12区を除き、19勝5敗。しかし今回は、東京22区の伊藤達也元金融相らが小選挙区で敗れ、11勝に留まります」

 さらに――。都議選で存在感を見せつけたのが、小池百合子都知事。都民ファーストの会関係者が語る。

「最近も『このままじゃ日本は衰退する』とこぼしていた。言葉の裏には、『私が国政に復帰して舵取りをしなければならない』との強い意思を感じました」

国政転身が囁かれる小池知事

 久保田氏も小池氏の動きに注目する。

「小池氏には二階氏とのパイプがあります。維新や国民民主を巻き込み、第三極形成に動き出すこともできる。『五輪は閉幕したけど、コロナが残っている。東京だけでは解決できない』と国政転身を切り出す可能性は少なくありません」

和泉補佐官の電話

 風雲急を告げる政局。総選挙に向け、重要な先行指標となるのが8月22日投開票の横浜市長選だ。IR推進を掲げる現職の林文子市長に加え、反対派の山中竹春元横浜市大教授や小此木八郎前国家公安委員長らが出馬を表明している。

「菅首相はIR誘致を訴えてきましたが、今回、小此木氏支持を決めました。腹心の和泉洋人首相補佐官がゼネコンのトップらに『小此木をよろしく頼む』と電話をかけるなど、必死の選挙戦を展開しています。ただ、元秘書の市議らは林氏支持で動いており、地元にしこりを残したのも事実。小此木氏と立憲推薦の山中氏が競る展開ですが、万一、小此木氏が敗れることがあれば、首相には大ダメージです」(横浜市政関係者)

横浜市長選に出馬する小此木氏

 当然、「菅首相では選挙は戦えない」として、総裁選の前倒しを求める声も高まってくるだろう。

「石破茂元幹事長や岸田氏に加え、二階氏と距離を縮める野田聖子元総務相、安倍氏が期待する高市早苗元総務相が出馬に意欲を示しています」(自民党幹部)

 世論調査では今も「次期首相ナンバー1」に立つ石破氏に尋ねると、

「今はあれこれ申すことはできません」

 と、出馬を否定せず。

政府与党の幹部らはどう動くか

 一方の岸田氏も、

「チャンスがあれば挑戦したい。総裁選があるのに誰も立たない。それを国民がどう見るかはきちんと考えなければなりません」

 

 最後に、久保田氏が選挙予測を総括する。

「感染拡大に歯止めがかからず、このまま支持率の下落も続けば、いよいよ“菅下ろし”が本格化することになるでしょう。そうした党内外の声を無視し、首相が解散に突き進めばどうなるか。自民党は国民からの信頼を失い、更に大きく議席を減らしかねません」

 4年ぶりの国民の審判が刻一刻と近づいている。
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 

source : 週刊文春 2021年8月12日・19日号

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