大義なき五輪と昭和天皇 誰も責任をとらない 原 武史

昭和史が教えるコロナ“失敗の本質”

原 武史
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(はらたけし 1962年生まれ。政治学者。東京大学大学院博士課程中退。放送大学教授、明治学院大学名誉教授。専門は政治思想史。著書に『昭和天皇』『滝山コミューン一九七四』『一日一考 日本の政治』など。)

 なぜ政府は東京五輪を強行開催したのか。私にはまったくわかりません。

 幻となった1940年の第12回大会や、64年の第18回大会には、まがりなりにも「大義」がありました。

 40年の五輪は、関東大震災からの帝都復興を世界に示すという名目でした。また「皇紀2600年」という記念事業を重ねることで、皇国日本の国威発揚も狙っていたのです。しかし、日中戦争が拡大したため、日本は開催権をIOCに返上しました。

 そして64年のときは、戦争からの復興。開催に合わせて東海道新幹線や首都高速道路などのインフラが整備され、一方で都電の廃止が決まるなど、東京の近代化の目玉として位置づけられていました。

1964年の東京五輪

 この2つの大会は、復興の象徴という大義が共通していたわけです。

 しかし、今回の東京五輪には、そもそも大義などありませんでした。

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source : 週刊文春 2021年8月12日・19日号

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