東京五輪閉幕後の8月11日。新型コロナウイルスに感染した自宅療養者数は、全国で7万4000人に達した。1カ月前に比べ、その数は12倍に膨れ上がっている。

「自宅療養者が安否確認の電話に出ないんです。様子を見に行ってくれないでしょうか」

　コロナ対応に忙殺される保健所から依頼を受けた大阪府の訪問看護師は、慌ただしく準備を始めた。

　医療用マスク、帽子、ゴーグル、ガウンに手袋……猛暑の中、個人防護具をフル装備し、1人暮らしをする20代男性の自宅へと向かう。

　幸い男性は無事だったが、倦怠感が強くて寝込んでおり、保健所の電話に気づかなかったという。冷蔵庫にはお酒ばかりでほとんど食料がなく、保健所には「物資が必要」と報告しなければならない。

「水分をよく摂ってくださいね。保健所からもまた必ず連絡があるので、出るようにしてください」

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