人生の3分の2はいやらしいことを考えてきた。
彼女の部屋にファミコンを持ち込んだのは、単に僕がしたかったからだけど、そこは気を使って何度か、
「やってみなよ。絶対、ハマるから」
と、彼女にも勧めた。しかし、頑なに「私、TVゲーム嫌いな人だから」と、言うばかり。
最初はまだ言葉尻も優しかったが、それが次第に「そんなにやりたかったら自分ん家(ち)でやればぁ」と、嫌味を言うようになったのは、やはり、彼女そっちのけで連日連夜、一心不乱にプレイする僕が気に入らなかったからであろう。
「そもそも、その髭のオヤジが気に入らない」だとか「服装が気に入らない」だとか、ゲームキャラにまでとばっちりが飛び火した時、僕は観念し、ファミコン本体とマリオのソフトをうちに戻した。
以来、彼女との仲もぎくしゃくし出したので、僕はしばらくひとりでいることにした。
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source : 週刊文春 2021年9月2日号