デルタ株の感染爆発により、新規感染者が全国で一日あたり2万人を超えることも日常になりつつある。
一方、重症化リスクの高い高齢者へのワクチン接種は進捗している。内閣官房の「政府CIOポータル」によると、対象の高齢者約3549万人のうち、1回目の接種を終えた人の割合は約89%、2回目も約86%にのぼっている(8月24日時点)。「打ちたくても打てていない」高齢者は、かなり少なくなっている。
ワクチン接種が、コロナによる死者の減少に大きく寄与していることも数字から見て取れる。第四波の渦中にあった4月は全国で1067人、5月は2817人だったのに対し、7月は感染増にもかかわらず409人と大幅に減少しているのだ。
だが、ワクチンを打ったからもう大丈夫、とは言えないのがデルタ株の恐ろしさだ。死者の多くを高齢者が占めている状況は変わらない。
東京都の場合、8月20日までの1カ月間の死者は96人。年代別で見ると、80代が29人、70代が22人と、70代以上の割合が最も多いのだ。次に50代の16人、60代の14人と続いている。
「抗体の減少」と「ブースター接種」
高齢者への新型コロナワクチン接種が始まったのは4月。すでに接種から4カ月以上経過している人もいるはずだ。
だが、ワクチンによって体内に生まれた抗体は、時間とともに減少していくのだ。国立病院機構・宇都宮病院の杉山公美弥副院長が解説する。
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source : 週刊文春 2021年9月2日号