「防護服と手袋を二重に着けて病室に入り、千葉さんを見た瞬間、ムリだと思いました。おでこはあったかかったですが、腕は氷みたいに冷たかった。身体は見たこともないほど痩せられていて。喋れる状態ではなく、『千葉さん、西田です』と5回ほど語りかけました」
8月19日、新型コロナによる肺炎のため亡くなった映画スター・千葉真一(享年82)。最期を看取った愛弟子でJAC(ジャパンアクションクラブ)現代表の西田真吾が明かす。
千葉は最後まで映画への情熱を燃やし続けていた。
「7月29日に食事をご一緒したときにも、咳込んでおられましたが、『大丈夫だ』と言って、これから撮りたい映画の話をされていました。イメージを膨らませるために、先に映画ポスターを作るんです。チンギス・ハーンの父の物語『THE FATHER』、新渡戸稲造の物語『武士道』など、すでにポスターが完成していました」(同前)
西田が新型コロナのワクチンを打つよう勧めても応じなかった。そこには千葉なりの哲学があったという。
「『人は誰でも身体の中に100人の名医を持っている』という、古代ギリシャの医師・ヒポクラテスの教えを信奉していました。身体を鍛えていれば、自然治癒力があるのだと」(同前)
千葉は1959年、東映にニューフェイスとして入社。次第にアクションシーンをこなせる俳優として重宝されるようになったが、そのアクションへのこだわりで監督と衝突を重ねる。さらに動きに付いてこられない共演者にはブチ切れ、嫌われた。70年にアクション俳優養成所のJACを作ったのも、自分の相手役を用意するためだった。
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source : 週刊文春 2021年9月2日号