福岡県警の警察官を携え、羽田発・福岡行きの飛行機に乗り込んだ東京高裁の裁判官・足立勉氏(56)は、かつての赴任地、福岡地裁で“大役”を任されていた。
「主文。野村被告を死刑に処する。田上被告を無期懲役に処する」――。
8月24日の101号法廷は異様な空気に包まれた。工藤会トップの総裁・野村悟被告(74)が裁判長に向け、牙を剥いたのだ。
「全然公正じゃない。生涯このことを後悔するよ」
怒気を孕んだ口調だった。
「その日は、1998年の元漁協組合長射殺など4件の市民襲撃事件の首謀者として殺人罪などで逮捕、起訴されていた野村、ナンバー2の会長・田上不美夫被告(65)の判決公判でした。両被告の指示を示す直接証拠がない中、検察側は上意下達で成り立つ組織性を重視し、状況証拠を積み重ねていった。結果、地裁は『野村がすべての事件で首謀者として関与した』と認定したのです」(司法記者)
足立氏が福岡地裁の判事に着任したのは17年4月のことだ。折しも、その3年前に福岡県警は工藤会への頂上作戦を開始。組幹部らは次々と逮捕・起訴された。足立氏は工藤会専門部というべき部署に配属され、有罪判決を下した工藤会組員は野村と田上を含めて実に20人以上に上る。
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source : 週刊文春 2021年9月9日号