9月5日に閉会式を迎える東京2020パラリンピック。
厚労省感染症対策アドバイザリーボードのメンバーで京都大学大学院・西浦博教授(43)が、「週刊文春」の取材に、東京2020オリンピック・パラリンピックの今夏の開催を止められなかったことを、「ここまで厳しい状況になるなら、社会から批判を受けてもいいから、もっと身体を張ってでも政府に強く進言しておくべきでした」と、悔しさを滲ませながら語った。
かねてより西浦氏は開催すれば医療逼迫のリスクが高まるとし、「一年延期」を提唱してきた。開催が事実上決まった6月には、政府分科会の尾身茂会長らと共に、無観客開催を求めた。
だが東京の新規感染者数は爆発的に増加。自宅療養者数は12万人近くに達した。一都三県で自宅療養中に亡くなったのは8月だけで30人を超える。都のモニタリング会議は「非常事態」だと位置付けた。西浦氏が言う。
「五輪の途中で医療体制が逼迫。パラリンピック指定の病院が、組織委員会の要請を受けた重症者の受け入れを断っていたことも判明しました。恐れていた事態が起こってしまった。『政府から徹底的に嫌われてでも、強く止めておくべきだったのではないか』と、惨状を見て痛感しています」
だが政府は五輪開催と感染拡大の関連性を否定し続けた。菅義偉首相は「五輪が感染拡大に繋がっているとの考え方はしていない」。丸川珠代五輪担当大臣に至っては、感染拡大の原因でない根拠を問われ、視聴率の高さを挙げた。
西浦氏が最も危惧しているのは、今後の感染対策への影響だ。
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source : 週刊文春 2021年9月9日号