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民放労連脱退の裏にテレビ朝日労組の〈巨額紛失事件〉

「週刊文春」編集部
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六本木のテレ朝本社
六本木のテレ朝本社

「うちの労働組合は、今回の突然の民放労連脱退の裏にある“事件”について一切明らかにしていません」

 こう声を潜めて語るのは、テレビ朝日の関係者だ。

◆ ◆ ◆

 民放労連とは日本民間放送労働組合連合会のこと。民放各社の労組が加盟する組織で、キー局の労組が脱退したのは史上初だ。7月25日の民放労連大会で「テレ朝脱退」は承認され、各社が報じたのだが、

「テレ朝労組は脱退の理由を、『原発問題や在日米軍基地問題などに対する運動方針を巡り、民放労連側とテレ朝労組の考え方が違うこと』『新型コロナで業績が厳しくなる中、組合費の負担が重くなったこと』などと説明しています」(全国紙記者)

 民放労連の中でも、とりわけテレ朝労組の存在感は大きかったという。

「テレ朝労組には全社員約1200人のうち約700人が所属。日テレ労組が約500人ですから民放労連の中でも断トツの人数です。テレ朝の場合、組合員は毎月二千数百円の組合費を払い、そのうち2000円強が民放労連への“上納金”にあてられていた。年間で約2000万円で、民放労連の収入全体の約15%をテレ朝労組が担っていた計算になります」(民放労連関係者)

 ところが、このお金にテレ朝の組合幹部が手を付けていた疑いが浮上したという。

「昨年、組合の財務状況を調べてみたところ、組合費から数百万円が消失していたのです。お金に触れる組合執行部の何者かによる巨額横領事件の疑いが濃く、組合は内部調査を行い、警察にも相談したそうです」(前出・テレ朝関係者)

テレ朝のドン、早河洋会長
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 この内部調査で疑惑の人物として浮上したのが、2016年から昨年まで執行委員を務めていた若手男性社員のX氏だった。

「X氏は2013年に総合職で入社。昨年の問題発覚時には営業職として勤務していました」(同前)

 しかしながら、当のX氏はすでにテレ朝を退社したという。

「横領については明確な証拠がなかったのですが、なぜかその後の昨年12月にX氏が一カ月以上も無断欠勤したのです。会社側はそれを理由に懲戒解雇としました」(別のテレ朝関係者)

 だが、騒動はこれでは終わらなかった。解雇されたX氏は、もはや自分を疑うテレ朝労組を頼れないと思ったか、民放労連に「自分は不当解雇された」と泣きついたのだ。

「X氏は『職場でお金を貸してくれと言われたのがストレスになっていた。それで病気がちになって精神的にも不安定となり、欠勤してしまった』と証言したそうです。万が一これが事実なら、X氏の個人犯罪ではなく、周囲の社員がX氏をそそのかし、組合費に手を出させた疑いも出てくる。民放労連側はX氏の説明を鵜呑みにするわけにもいかず、頭を抱えていました」(同前)

報ステの富川キャスター

 X氏の携帯を鳴らし、メールも送ったが応答なし。

 一方、テレ朝労組はこう回答した。

「昨年、当労組の組合費の一部紛失が確認されたため、捜査機関にも相談しつつ調査を行いましたが、原因等について確証を得るには至っておらず現在も調査中です。紛失と民放労連脱退とは関係ありません。年間2000万円以上に及ぶ当労組の民放労連活動費負担の軽減と、その使途を含めた運動方針相違の解消が理由です」

 何とも不可解な巨額組合費紛失事件、「報ステ」で一度特集してみては?

source : 週刊文春 2020年8月27日号

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