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「コロナ禍の首相は短命」茂木敏充、ごますりの後先

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「週刊文春」編集部
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「衆参で足並みを揃えてという……」

「当たり前です!」

 自民党総裁選に竹下派はどう臨むのか。9月9日の同派の会合後、記者の質問をこう遮ったのは会長代行の茂木敏充外相(65)だ。

 安倍晋三氏と石破茂氏の一騎打ちとなった2018年の総裁選で、同派は衆院側が安倍氏を、参院側が石破氏を推して分裂した。それが念頭にあったのか、茂木氏は「分裂するかのように聞いてきたので。申し訳ない」と直後に謝ったが、「茂木氏らしさが爆発した光景だった」(政治部記者)。

“らしさ”とは何か。

「茂木氏は自分が『頭が悪い』『気遣いができない』と見做した格下の人間には非常に厳しくあたる」(同前)

 朝の出勤時に取材しようとする記者には「番記者のくせに俺が朝に弱いことも知らないのか」と不機嫌に。会議で茂木氏のペースにあわせて資料をめくらない官僚にも、気が散る、と怒声を浴びせる。だから、「能力は高いのに人望がない」(自民党関係者)。

 一方で、上にはとにかくごまをする。首相時代の安倍氏は周囲に「茂木さんはリトマス試験紙。私の調子が悪いと茂木さんは会いに来ない。今はよく来る。だから今、絶好調ですよ」と漏らしていた。頭脳派で鳴らした派閥領袖に「風邪を引いている時ですら、頭の回転は他人の2倍なんですねえ」と歯の浮くようなお世辞を言ったこともある。

 誰もが認める頭の良さと得意のごますりで、金融担当大臣、経産大臣、党選挙対策委員長や政調会長などの要職を歴任したが、面倒見の悪さから「首相候補」の声望を得られていない。

 宰相への道が開きかけたこともある。昨年6月、安倍氏と麻生太郎財務相が「ポスト安倍」を協議。2人が蛇蝎のごとく嫌う石破氏が台頭した場合、コロナ禍の有事に岸田文雄氏では勝てないと判断し、浮上したのが茂木氏だった。麻生氏から伝え聞いた財務省幹部は「茂木首相」に仕える秘書官探しを始めたが、茂木氏自身は「コロナ禍の首相は短命に終わるから」と及び腰だった。

 当時、麻生氏と茂木氏は疎遠。茂木氏に近い竹下派の山口泰明・党選挙対策委員長が仲介し、その後、食事やゴルフを重ねた。「俺たちは、菅や二階と違ってセンスがあるよな」。麻生氏が菅義偉首相と二階俊博幹事長のファッションセンスを批判しながら茂木氏に笑顔を向けたこともあるという。

 ごますりでのし上がれるのは、格上の実力者がいてこそ。コロナ収束を待っていては、頼みの安倍、麻生両氏が力を失うかもしれない。茂木氏も間もなく66歳。格下ばかりの政界になればごますりはできない。

source : 週刊文春 2021年9月23日号

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