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SBIが新生銀行に送り込む 旧長銀に引導を渡した張本人

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森岡 英樹
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SBIの社外取締役も務めていた五味氏
SBIの社外取締役も務めていた五味氏

 SBIホールディングスが新生銀行の買収に乗り出した。SBIはすでに新生銀行株の約20%を保有する主要株主だが、9月10日からTOBを実施。約1100億円を投じて出資比率を48%まで引き上げる方針だ。SBIは新生銀行を連結子会社化する意向だという。

「SBIは『第4のメガバンク』構想を掲げ、地銀8行に資本出資してきました。その中核会社に据えようとしているのが、新生銀行なのです。19年4月から同行の株を買い増してきました」(地銀幹部)

 ところが、第一勧銀出身の工藤英之社長率いる新生銀行は今年3月、SBIとはライバル関係のマネックス証券と包括提携を結ぶ。

「こうした動きに、SBIの北尾吉孝社長は激怒しました。工藤氏についても『信義にもとる男だな』とこぼしていたそうです。SBIはTOB成立後、臨時株主総会の招集請求を行い、役員陣の全部もしくは一部の交代を求める方針です」(SBI関係者)

 そのSBIが新取締役会長候補に推薦しているのが、元金融庁長官の五味廣文氏だ。実は、五味氏は新生銀行と浅からぬ因縁がある。

「五味氏は98年10月、財金分離されたばかりの金融監督庁(現金融庁)の検査部長として、新生銀行の前身にあたる日本長期信用銀行の国有化に関する実務を取り仕切っていました。つまり、旧長銀に引導を渡した当事者なのです。当時の破綻行処理では、五味氏率いる検査部が、行政処分権限を持つ監督部を押し切るケースも多かったと言われます」(メガバンク幹部)

 その後、五味氏は検査局長、監督局長を経て、第4代金融庁長官(04年~07年)に就任。りそな銀行の実質国有化など剛腕を発揮した一方で、1000億円超の累積赤字を抱えた新銀行東京に設立認可を出すなど“負の遺産”も少なくない。

「中でも責任が指摘されたのは、04年に開業した日本振興銀行の件です。振興銀行の創業者・木村剛氏は、竹中平蔵金融相のブレーンとして、金融庁の顧問も務めていた。木村氏、竹中大臣、五味長官らが一体となる形で、振興銀行に異例の短期間で免許が交付されるなどしました。しかし振興銀行は10年に破綻し、初のぺイオフが発動されるのです」(金融庁関係者)

 退任後は、西村あさひ法律事務所顧問へと“天下り”。以降、ボストンコンサルティンググループのシニア・アドバイザーなど外資系企業を渡り歩いた。

 今後の焦点は、新生銀行がSBIに対抗できるホワイトナイトを招聘できるか否か。さもなければ、“五味会長”が因縁の銀行に舞い戻る――。

source : 週刊文春 2021年9月23日号

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