移民受け入れの議論に必要な「2つの視点」|三木谷浩史

三木谷浩史「未来」 第12回 

三木谷 浩史
ビジネス 社会 経済 企業

(みきたにひろし 1965年神戸市生まれ。88年に一橋大学卒業後、日本興業銀行(現・みずほ銀行)に入行。退職後、97年にエム・ディー・エム(現・楽天グループ)を設立し、楽天市場を開設。現在はEコマースと金融を柱に、通信や医療など幅広く事業を展開している。)

 東京・二子玉川にある楽天グループの本社ビル・クリムゾンハウスのオフィスには、いつも多くの外国人の社員たちが行き交っている。

 とくに近年では新規のエンジニアの採用において、楽天でも外国籍の人の採用数は右肩上がりだ。今では日本のオフィスに新しく入ってくる6~7割が外国人で、ロシアや中国から来ているエンジニアも多い。楽天モバイルやグループのCTOもアメリカ人だ。

 だから、本社ビルで新型コロナワクチンの職域接種を行う際も、彼らがスムーズに接種を済ませられるよう、表示や案内、問診表などに様々な配慮が不可欠だった。それでも、彼らが楽天という企業のプロジェクトに関心を持ち、その挑戦に参加したいという思いを持ってくれていることを嬉しく思っている。

 それにしても、彼らの働き方に接しながらあらためて実感するのは、仕事の中でのディベートの激しさだ。議論が白熱すると「ここのアーキテクチャはこうだろう」「いや、違う。こうすべきだ」とまるで喧嘩のようにエンジニア同士がやり合い出し、僕が「まあ、まあ、落ち着こうよ」と仲裁しなければならなくなる場面もよくある。

 そうしたディベートの文化は日本にないものだが、遠慮なくストレートに意見を交わし合いながら物事を進めていく彼らの姿には、僕自身が大きな刺激を受けている。

 日本人のスタッフの中には、その丁々発止の様子を見て、「ここまで言いたいことを言っていいのか」と最初は感じる者もいるという。だが、育った国や文化が異なり、生い立ちも含めて様々なバックグラウンドを持つ人たちが、仕事で意見をぶつけ合うことはとても大切だ。

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source : 週刊文春 2021年9月23日号

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