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【社外秘文書入手】CA飲酒でピーチ航空が“非常事態”飛行

「週刊文春」編集部
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〈社外秘〉と記されたピーチ・アビエーション(以下、ピーチ社)の内部文書にはこう書かれていた。

〈本事案は、監督官庁への報告を終えているが、メディア等への告知の対象外である。(中略)SNS等への掲載は厳禁であり、情報の社外流出を行わない事〉

社外秘の理由は「無用の混乱を防ぐため」

 ピーチ社は国内最大規模のLCCだ。一昨年はドラマ『おっさんずラブ-in the sky-』の撮影に協力。今年8月には行き先が分からない5000円の航空券をガチャガチャで販売するなど、“攻め”の経営を続ける同社の全社員に、運航本部からメールがあったのは、9月13日のこと。

「〈アルコール検知事案の発生〉との文書が添付してあり、『当面の間、全社員は連帯責任とし極力飲酒を控えて頂きたい』と書かれていました」(ピーチ社社員)

 事案発生は13日の午前。仙台発関西空港行きの便に乗務したCAから、アルコール反応が出たのだ。

「このCAは前夜に友人とお酒を飲み、出勤前にホテルで自主検査をしたところ、呼気からアルコール反応が出てしまった。しかし、『それほど量は飲んでいないし(社内規定の)12時間前、2単位は守っている』とCP(チーフ・パーサー)に伝えた」(同前)

「2単位」とは、缶ビールなら500ml缶2本程度。CPはこの報告を聞き、

「機器の誤反応かも知れないし、出頭したときの検査でゼロになればいい」

 と、報告せずCAを空港へ向かわせた。だが――。

「空港の検査でもアルコールが検知され、この時点でCPは初めて会社に報告したのです」(同前)

 急遽ピーチ社はCAを当該便の乗務から外し、通常4人編成のところ3人で運航した。現役CAが語る。

「基本、CAの数は旅客機のドア数にリンクしており、4つドアがあれば最低4人は必要。仮に機内で火災が起き、お客様が勝手に、CAが近くにいないドアを開けてしまったらどうなるか。3人での運航は、急病でCAの補充が出来ないなどの“非常事態”のみです」

 ピーチ社が冒頭のような“隠蔽”を指示する文書を送っていたのも見逃せない。

「別の文書でも『(この件は)マスコミへの報告対象外となります。無用な混乱を避けるため、社外秘とします』とある」(同前)

 事実関係をピーチ社に尋ねると、事案は認めた上で、こう答えた。

「(マスコミに発表しなかった理由は)ルールに基づいて対応しました。(CA3人で運航したことは)規定上、旅客50名につきCAが1人いれば問題はなく、当該便は旅客数が84名。CAが3名でも全く問題ありません」

 だが、航空評論家・秀島一生氏はこう指摘する。

「ホテルでアルコールを検知した時点でアウト。CPはすぐCAを外す判断をすべきでした。対応が早ければ他の便や近隣空港から交代要員を寄越すことも出来たはず。法律上、3人での運航が問題なかったとしても、安全のため最大限の努力はすべきだったでしょう」

“攻め”の経営も結構だが、乗客の安全を“守る”のも忘れずに。

関西空港が拠点

source : 週刊文春 2021年9月30日号

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