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高市早苗「最側近は杉田水脈」と「新ネオナチ写真」 経済・防衛政策は「夢物語」

「次の総理」ここが危ない!

「週刊文春」編集部

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 総裁選告示日の9月17日、テレビ局を行脚する候補者たち。高市早苗前総務相(60)の傍らに、文字通り“最側近”として寄り添っていたのは――。

サナエノミクスを掲げる

 9月18日の毎日新聞世論調査では、岸田文雄前政調会長を追い抜き、河野氏に次ぐ2位だった高市氏。躍進の陰には、安倍晋三前首相の猛チャージがある。

「安倍氏は今、『岸田を抜く』と息巻いている。特に3回生以下の議員には『選挙が厳しいのはわかるけど、保守を守るために高市さんを頼むよ』と何度も電話し、“圧”をかけています」(政治部デスク)

 高市氏自身は9月12日、フジテレビの報道番組に出演した際、「私が右翼扱いされてるような気がして仕方ない」と語ったが……。

「“右寄り”なのは、間違いない。何しろ、“最側近”が杉田水脈衆院議員ですから」(自民党関係者)

 杉田氏と言えば、18年7月、月刊誌「新潮45」に「LGBTは生産性がない」などと寄稿。20年9月には、女性への性暴力を巡って「女性はいくらでもウソをつける」と発言するなど物議を醸してきた。

TV行脚に同行する杉田氏

「そんな杉田氏は高市陣営の中心人物として、選対本部長の古屋圭司元国家公安委員長らと会合を重ねてきました。SNSでも高市氏との2ショットを上げています。テレビ出演への同行は慣例上、1人だけと決められていますが、河野氏は同じ神奈川の山本朋広前防衛副大臣、岸田氏は木原誠二元外務副大臣、野田氏は三原じゅん子厚労副大臣と各自、最側近の副大臣経験者を指名している。一方で、高市氏に同行しているのは、要職に就いたことのない杉田氏でした」(同前)

 杉田氏に話を聞いた。

――テレビ出演に同行することも多い。

「そうですね、討論会にも行かせて頂きました」

――かなり近くで支援を。

「担当は事務局補佐か、次長だったと思います」

――安倍氏からの要請も?

「8月には応援を心の中では決めておりました。安倍前総理から直接(の支援依頼)は、もっと後、総裁選の直前になります」

――過去の発言などで、高市氏の敵が増えてしまう?

「私って敵が多いんですか? できるだけお力になりたいという一心で、応援をしております。日に日に手応えを感じております」

ネオナチ男性が証言

 ただ、高市氏本人も、極端な国家主義団体との接点が指摘されている。14年の総務相就任時には、ナチス・ドイツを信奉するネオナチ団体「国家社会主義日本労働者党」の山田一成代表との2ショット写真の存在が明るみに出たのだ。

 高市氏は当時、

「月刊誌のインタビューでカメラマンか照明の人が来ていた。名刺交換もしていない。写真を撮ってくれと頼まれたから応じただけ」

 などと釈明していた。

 ところが、

「俺がカメラマンでついてきたとか、デタラメなこと言ってるわけだよ」

 小誌の取材にそう証言するのは、当の山田氏だ。

「見てみろよ、これ」

 そう言って、記者に提示したのは、新たな写真(下記)。手前の男性が山田氏で、その手元には名刺交換をした形跡が窺える。

ネオナチの男性と面会する新写真

「そもそも俺は自分で民族主義の運動もやってるけど、職業としてはジャーナリストみたいなこともやってるわけ。君が代裁判などについて、保守系議員の高市さんに聞いた。保守的な話を差し向けたりして、雑談含めて取材は2時間くらいかな」

――高市氏と会ったのはその1回だけ?

「そう。人として好印象。懇切丁寧に(原稿に)赤字を入れてきた」

――高市氏の説明を当時、なぜ否定しなかった?

「かわいそうだから。俺の主義主張を見りゃ、たまんねぇだろうと思ったから」

 とはいえ、高市氏とナチス思想との関わりはこの時だけではない。94年、ヒトラーを礼賛した「ヒトラー選挙戦略」(永田書房)にも推薦文を寄せていたのだ。同書はユダヤ人団体からの抗議を受け、僅か2カ月で絶版となっている。

 著者に尋ねたところ、

――高市氏との面識は?

「ないですよ」

――内容がまずかった?

「だって、(出版を)やめたじゃないですか」

原発政策の裏に元夫

 一方、高市氏が掲げている政策は如何なるものか。

 基軸に据えるのが、「サナエノミクス」と称する経済対策だ。アベノミクスで達成できなかった2%の物価目標を目指し、金融緩和、機動的な財政支出、大胆な危機管理投資・成長投資という「3本の矢」を実行するという。だが、マクロ経済学が専門の小黒一正・法政大教授が指摘する。

「安倍政権が物価目標を定めたのは、物価が上がれば賃金も上がって豊かになると考えたからです。しかし因果関係は逆で、国民の所得が上がって経済成長するから物価が上がる。日本銀行も4月の金融政策決定会合で、23年度の物価見通しが1%に留まる可能性に言及しました。残念ながら、アベノミクスは失敗に終わったのです。にもかかわらず、高市氏は未だに金融緩和などに頼り、2%の物価目標を達成しようとしている。現実を直視する必要があります」

 さらに、防衛政策で掲げたのは、敵基地攻撃能力の導入。その手段として「電磁波」の利用を訴えた。だが、これを「夢物語」と断じるのは、元陸上自衛隊情報分析官の西村金一氏だ。

「電磁波攻撃には、戦術核爆弾を上空で爆発させて強い電磁波を起こす方法と、艦艇から高出力電磁波(レーザー)を放って5キロ先のミサイルを焼き切る方法の2つがあります。しかし、日本は核兵器を保有していませんし、仮に艦艇で敵地に近づいても、北朝鮮のような移動式の弾道ミサイルを電磁波で攻撃するのは不可能。そもそも電磁波を放てば、先制攻撃とみなされ、国連憲章違反となります。常識的に考え、あり得ない政策でしょう」

 他方、原発政策では菅政権の方針とは異なり、処理水の海洋放出に慎重だ。一体、なぜか。取り沙汰されるのが、17年に離婚したものの、高市氏を支持する元夫・山本拓衆院議員(二階派)の存在である。山本氏は原発を抱える福井県が地元で、従来から処理水の放出に反対の立場だった。

 元夫から助言を受けたのか。山本氏に尋ねると、

「アドバイスというか、私は党内で勉強会をやってきていますから、その資料は彼女も読んでいると思います。別れていますが、彼女は政策の勉強家ですから。福井県(の議員)はほとんど応援していますよ」

 高市氏にネオナチ代表との新写真や政策への批判について見解を求めたが、期日までに回答はなかった。

 最側近や政策の極端さでは、“右”に出る者はいない。

source : 週刊文春 2021年9月30日号

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